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2022.4.19

薬剤師が教えるジェネリック医薬品とは

薬剤師が教えるジェネリック医薬品

「ジェネリック医薬品に変更してよいですか?」と薬局で聞かれたことはありませんでしょうか?

実際、「ジェネリック医薬品についてよくわからないけど、なんとなく変更している」という方もいるでしょう。

今回は、そんなジェネリック医薬品について詳しく解説します。

ジェネリック医薬品とは

ジェネリック医薬品は「先発品と同じ有効成分で、同等の効き目・安全性・品質である」ことが試験で証明された薬のことで、国の法律や基準に基づいてつくられています。

一般的にひとつの新薬(先発品)をつくるためには、長い年月と莫大な費用が必要ですが、ジェネリック医薬品は、すでに開発された先発品の使用経験や情報をもとにして開発するので、新薬に比べ安くつくることが可能です。

試験をクリアしたジェネリック医薬品

また、ジェネリック医薬品は、先発品と同様に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器法)」という法律によって決められた基準を満たした医薬品です。

ジェネリック医薬品が先発品と同じくらいの効果を発揮することを調べる「生物学的同等性試験」や、有効期間内に品質が一定に保たれているかどうかを調べる「安定性試験」など、さまざまな試験をクリアしたものだけがジェネリック医薬品として販売されます。

なかいまち薬局のぴょんすけ

ジェネリック医薬品は安いから適当に作られているなんてことはありませんので、ご安心ください

ジェネリック医薬品は新薬と本当に同じ有効成分?

実際に、痛み止めで有名な「ロキソニン」とジェネリックの「ロキソプロフェンナトリウム錠60mg」を例に薬の成分表を見比べてみましょう。

主成分

先発品

ロキソプロフェンナトリウム水和物

ジェネリック

ロキソプロフェンナトリウム水和物

添加剤

先発品

低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、三二酸化鉄、乳糖水和物、ステアリン酸マグネシウム

ジェネリック

乳糖水和物、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、三二酸化鉄、ステアリン酸マグネシウム

主成分は、「ロキソプロフェンナトリウム水和物」で同じですね。

添加剤は、先発品と同じ添加剤が使えない場合や、改良を目的として先発品と異なる添加剤を使用することがありますが、添加剤の種類が先発品と異なっていても有効性に違いがないことは生物学的同等性試験によって確認されています。

ジェネリック医薬品の普及率

ジェネリック医薬品の普及率は、2022年の調査では日本が79%、アメリカが約90%、イギリス・オーストラリア・中国が約85%、ドイツが約80%となっています。

なかいまち薬局のぴょんすけ

日本だけでなく、世界中でジェネリック医薬品の普及がすすんでいるのですね。

日本政府は、ジェネリック医薬品の普及率を80%以上まで上げることを目標にしており、国がジェネリックの普及をすすめる1番の目的は、医療費の抑制です。

薬代の約7割は税金から支払われますので、例えば、1錠100円の先発品では税金が70円必要ですが、1錠40円のジェネリック医薬品であれば税金が28円ですみます。

小さな額に見えますが、この積み重ねによって医療費を大きく抑制することが可能になります。

ジェネリック医薬品のメリット・デメリットとは

ジェネリック医薬品は先発品と同じように安全だということはわかりましたが、使用することでどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

ジェネリック医薬品を利用するメリット

患者様がジェネリック医薬品を選ぶ最大のメリットは、上述したように安いということです。

ジェネリック医薬品は、先発品のおおよそ2〜5割ほどの価格設定になっています。

ジェネリックは安い

たまに風邪薬を飲むくらい、という方にはあまり実感がないかもしれませんが、持病をお持ちで毎日薬を飲む方では、毎月の薬代が随分変わるでしょう。

また、錠剤が小さくなっていたり、口の中で溶けるタイプがあったりなど、自身にとって飲みやすい形を選べるジェネリック医薬品もありますので、その点も患者様のメリットになるでしょう。

なかいまち薬局のぴょんすけ

今飲んでいる薬が飲みにくいと感じている方は、ジェネリック医薬品で飲みやすいものがないか薬局で相談してみてくださいね。

患者さまがジェネリック医薬品を利用するデメリット

ジェネリック医薬品は「生物学的同等性試験」で先発品と同じように体の中で効果をしめすことが証明されていますが、一部のジェネリック医薬品を除いて添加物まで完全に同じではありません。

錠剤の大きさ、味、色などの飲み心地が異なり、それが薬の効果の感じ方にあらわれるときがあります

もし、自身に合わないと感じられましたら、遠慮なく薬剤師へご相談ください。

また、ジェネリック医薬品は多数のメーカーから発売されているものが多く、薬局によって採用しているメーカーの違いがあります。

各社似せては作ってありますが、パッケージや錠剤の大きさ等が異なり、分かりにくくなる可能性があります。

薬局がジェネリック医薬品をすすめる本当の理由

「患者が支払うお薬代が安くなったら、薬局の収入が減って困るんじゃないの?」という疑問をお持ちの方もいるかもしれません。

しかしながら、実は薬代はあまり薬局の収入源にはならないのです。

薬の価格はすべて国に定められており、薬局独自に値段を決めることはできず、納入価格とほとんど差がありません。

単純に、患者さまの負担軽減という意味合いでおすすめしていることが多いです。

もちろん、ジェネリック医薬品をすすめることで薬局にも多少のメリットはあり、国の政策としてジェネリック医薬品をすすめていることは前述の通りですが、ジェネリック医薬品の普及率を高めるために、国はジェネリック医薬品の使用率が高い薬局に対して収入につながる制度を作っています。

「後発医薬品調剤体制加算」「後発医薬品減算」と呼ばれる制度で、ジェネリック医薬品の使用割合が多い薬局は患者さまから200円前後のお支払いをいただくことができます。

したがってジェネリック医薬品を選んでくださる患者さまが増えた方が薬局の収入が増えるような仕組みになっているのです。

また、この制度は患者さまごとに変わるものではありません。薬局ごとに決まった金額になっていますので、「先発品しかもらっていない」方のお会計にも加算されていることがあります。

薬局がジェネリック医薬品をすすめる理由

ジェネリック医薬品の断り方

ジェネリック医薬品も先発品と同じくらい安全で、国の医療費削減のために役立つからと言われても、「先発品がいい」と思う方もいますよね。

ジェネリック医薬品への変更を無理強いされることはありませんので、先発品をご希望の際は、医師や薬剤師へ「先発品がいい」と一言伝えてください

また初めて利用する薬局では、最初にアレルギーなどの問診表を書くと思いますので遠慮なく「先発品希望」と記述ください。

先発品が用意できない場合も

新型コロナウイルスの影響で薬の成分の輸入が滞っていたり、工場の火災が起きたりなど、現在、医薬品の流通が不安定になっています。

「先発品が準備できない」、「いつものメーカーの後発品がない」などの理由で、患者さまにお薬の変更をお願いすることがあるかもしれません。

その際は、ご理解をいただけますようお願いいたします

まとめ

ジェネリック医薬品とは何か、そのメリットやデメリットについて解説をさせていただきました。

ジェネリック医薬品は、価格が安いというのが最大の特徴ですが、安いからといって品質が悪いわけではなく、国の定めた法律に基づいて安全性や効果が確認されている薬です。

世界的にジェネリック医薬品の普及率は高く、たくさんの人に使用されていますので、もしジェネリック医薬品を使ってみたい、話を聞きたいと思われましたら、お気軽にお声がけください。

しかしながら、薬局ですすめられたとしても強制されるものではありませんので、ジェネリック医薬品に不安がある方は「先発品がよい」と遠慮くなく薬局でお伝えくださいね。

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監修漆畑俊哉(薬剤師)

漆畑俊哉(薬剤師)
  • 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
  • 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
  • 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
  • 在宅療養支援認定薬剤師

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