5月病の症状から抜け出す対策
5月病はゴールデンウィークを過ぎた頃から、なんとなくだるいという体の不調や、やる気がでなくて学校や会社に行きたくないなどの心身の不調がでることを言い、自身が5月病かもと感じた経験がある方は多いのではないでしょうか?
5月病は対策方法を知っておくと、自分でも症状をやわらげることができ、まわりの人も5月病について正しく理解しておくと、辛い気持ちの本人に寄り添うことができます。
本記事では、そんな5月病の症状と対策について解説をさせていただきます。
目次
5月病とは
5月病とは、4月に新入学や進級、入社、転勤など、今までやる気に満ちていたにもかかわらず、5月のゴールデンウィーク明け頃から心身の不調を訴えることから名づけられた通称(医学用語としての病名ではありません)で、最近では「春バテ」「4月病」「6月病」などとも言われます。
春は一年のうちで最も寒暖差が大きく、体調不良をきたしやすいといわれており、気象や気圧の変化に体がついていけず頭痛やだるさがでてしまう方や、花粉症で辛い方もいらっしゃいます。
そんな中、新年度で環境の変化によって出会う人やメンバーが変わって人間関係のストレスが加わったりもします。
今はコロナ禍で、生活環境も大きく変わっていますので、みんながストレスを抱えていますね。また、ご自身の環境変化だけでなく、ご家族に環境の変化が起こることで、ストレスを受けることもあります。
ちなみに以前は、新年度にやる気があふれ挑戦する気持ちが高ぶっている4月は元気な時期で、5月になると少し落ち着いてきて期待とはうらはらに周囲とうまくいかない自分を責めて落ち込んだりする・・・その時期がちょうど5月の連休明けということで「5月病」といわれていました。
しかし、最近では気候の変化の激しさから4月でも自律神経の不調で体調を崩したり、働き方改革などで休みを分散させる企業も増え、5月の連休を6月にずらすこともあり「4月~6月病」をまとめて「春バテ」などともいわれています。
春バテは大人も子どもにも起こり得ます。早めの対策をして、ご家族みんなで「春」を健康に乗り切っていきましょう!
5月病の原因
進学、就職、異動、転勤、転職などをきっかけに人間関係がうまくいかなかったり、学校や職場の雰囲気になかなかなじめないことが5月病の主な原因です。
特に、生活が大きく変化する新社会人が5月病になりやすい傾向にありますが、最近は若い人ばかりではなく、単身赴任などで環境が変わる中高年でも症状に悩む人が増加しています。
また、当人だけでなく転勤族の家族にも5月病の症状が出る場合もあります。
5月病はだれにでも起こり得る?
ウーマンウェルネス研究会(代表は産婦人科医の対馬ルリ子先生)が「春バテ」を調査して結果を報告しています。
首都圏在住の835人(20代~50代男女)に調査を実施した結果、季節の変わり目である春(3~5月)に、身体の不調を感じている人がなんと6割を超え、さらに精神面の不調を2人にひとりが感じていることがわかったということです。
また、いずれも男性よりも女性の割合が1割ほど高い結果でした。
「春バテ」は、だれにでも起こり得るのですね。みなさま、どうぞご自愛ください!
5月病の症状
5月病の一般的な症状としては、気分が落ち込み、なんとなく不安で、体がだるくやる気がおきないといったメンタル面の不調や、胃痛や頭痛、肩こりなど肉体的な不調です。
その症状は人によって違いますが、主な症状は次のようなもので、症状が2週間程続くようであれば、かかりつけ医に相談しましょう。
「5月病」と思っていたら、大きな病気の前兆だったということもあり得ます。心身の不調に我慢は禁物です。
精神的な不調について
- 不安感
- 倦怠感
- 無力感
- 不安感
- イライラ感
- 緊張感
- 引きこもりなど
肉体的な不調について
- 動悸
- めまい
- 頭痛
- 血圧上昇
- 不眠
- 胃痛
- 食欲不振など
5月病の対策
家族や信頼できる友人などに悩みを打ち明けることで、ストレス解消になります。
また、悩んでいることを紙に書き出すのも脳内の整理につながります。
その他にも、マインドフルネス(瞑想)や簡単な運動を日課にする、質の良い食事と睡眠をこころがけるなどが、5月病の対策になります。
やることリストの作成
慣れない環境で生じる不安や恐れといったモヤモヤした気持ちは、心のどこかに「失敗したくない」という気持ちがあるからです。
やらなければならないことが多すぎて、頭の中がグチャグチャの状態だと、単純なミスをしがちです。
そんな失敗を防ぐには「やることリスト」を作成し、優先順位を決めてサクサク消化することです。
アナログ的な方法ですが、今日やらなければならないことをメモし、終了した事柄をカラーペンで消していくと、効率的に仕事が片付くと同時に、達成感も得られます。
マインドフルネス(瞑想)とは?
一番基本になるのが、呼吸法です。
- 床にあぐらをかくように座り、4つ数えながら鼻から息を吸い、お腹に空気を入れます。
- 次に7つ数える間、息を止めます。最後に8つ数えながらお腹から息を吐きます。
数を意識しながら呼吸をすることで、よけいなことを考えない感覚がつかめます。
仕事の休憩時間にもやってみましょう!
ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動
身体に酸素を取り込む運動は、ストレスを解消する効果があります。
- ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳など。
- 階段昇降や青竹踏み、縄とび(エア縄とび)なども数を数えながら行うといいですね。
- 縄とびが苦手な人は、縄がついていない持ち手だけのもので、跳躍だけを行ってもOKです。
有酸素運動は10分でも、5月病対策に十分に効果があります。5月病の症状を改善するには、とにかく日常生活にメリハリをつけることが大事です。
食事内容について
食事を作る際には、主食、副菜、主菜を組み合わせるように意識し、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル類をバランスよく摂るようにしましょう。
なかでも肉や魚、大豆製品などに含まれている良質なタンパク質の摂取量が足りないと、感情のコントロールがうまくできないことがあり、5月病を長引かせてしまいます。
不規則な食生活や偏った食事内容は、脳内の栄養不足を招きます。
よく、「焼き肉を食べると元気が出る」と言われますが、それは本当です。
実際に動物性タンパク質に多く含まれる神経伝達物質のセロトニン不足で、やる気が出ないこともあります。
もちろん、肉ばかり食べるのはよくありませんが、毎食タンパク質を片手にのる程度を食べるようにすると、やる気と元気が出てきます。
睡眠 について
睡眠は疲労回復に重要な役割を果たします。睡眠の質を上げるために以下の生活習慣を身につけましょう。
- 起床時間や就寝時間を決めて生活のリズムを整える
- 夕食は寝る2時間前までにすませる
- 入浴は寝る1時間前までにすませる
- 寝る前にテレビやパソコンを見ない
入浴について
春は気温も上がってくるので、お風呂には入らずシャワーで済ませている方もいらっしゃるのではないしょうか?
湯船につかる入浴は自律神経を整える働きがありますので、是非お風呂に入りましょう。
5月病の症状を和らげる成分とその成分を含む食品は?
5月病の症状を和らげる成分と、その成分を含む食品や漢方薬、サプリなどを知っておくと、自分で体調をコントロールすることも可能です。
以下、5月病の症状を和らげることが期待できる成分と、その成分を含む食品をご紹介します。
ビタミンC
ビタミンCは「抗ストレスビタミン」とも呼ばれ、摂取すると免疫機能が強化され病気への抵抗力が高まります。
日ごろからストレスへの抵抗力を高めるためにも効果的です。
ビタミンCを多く含む食品は、パプリカやブロッコリー、芽キャベツ、イチゴ、キウイなどです。
ビタミンB1
ビタミンB1は、情緒を安定させる効果が期待でき、豚肉や卵、牛乳、玄米などに含まれています。
セロトニン
セロトニンは、精神の安定や安心感を得られる効果があり、ストレスに負けない成分です。
トリプトファンとフェニルアラニン
上記のセロトニンは食物から摂取したトリプトファンから体内で合成されます。
セロトニンやフェニルアラニンには、抗うつ作用があり、牛乳や卵に神経伝達物質の合成を盛んにしてくれるトリプトファンやフェニルアラニンが多く含まれます。
薬やサプリの効果について
5月病の症状を改善するには、バランスのとれた食事、質の良い睡眠、適度な運動や入浴など、生活習慣の見直しはもちろん大事ですが、体質に合わせた漢方薬やサプリメントを用いることもおすすめします。
漢方薬やサプリの服用をご検討中の際、他の薬を飲んでいる場合は、飲み合わせが悪いものもあるため、必ず薬剤師にご相談下さい。
漢方薬
5月病特有の気分の落ち込みや不安感、イライラ感が気になるようなら
神経がたかぶり怒りやすい、イライラ、神経症、不眠症、小児夜泣き、更年期障害、歯ぎしりにもオススメです。怒りっぽくて周りにあたってしまう、そんなつらい症状を緩和します。
ぐっすり眠れない、夜中に目が覚める、夢を見やすい人には
疲れやすく、神経過敏で、興奮しやすい、神経質、不眠症、小児夜泣き、夜尿症、眼精疲労にオススメで、些細なことが気になる方に向いています。
めまいや動悸、喉の異物感が気になる場合
ストレスで喉にビー玉がつまったような違和感を感じることはありませんでしょうか?
咽喉・食道部に異物感がある方、動悸、めまい、嘔気などを伴う不安神経症、神経性胃炎、のどのつかえ感にオススメです。
サプリ
睡眠サプリ
グリシン、トリプトファン、テアニン、 ビタミンB群を含んでいます。テアニンは緑茶にも含まれるリラックス効果のあるアミノ酸の一種です。
セロトニンサプリ
日常生活の過ごし方
5月病は、ストレスについて理解し、自分に合った対処法をみつけることで、不安や緊張をやわらげることができます。また、オンとオフの切り替えやメリハリをつけることも大事です。
例えば、デスクワークなら1時間経てば立ち上がって深呼吸をする、腕を回す、体側を伸ばす、などの簡単な動作を1~2分おこなうだけでも、脳が活性化します。
仕事も勉強も家事も急ぐことや重要なことから先に片づける習慣をつけ、1時間おきにリセットタイムをとることで、ストレスが軽減され、5月病は自然に解消されます。
趣味を暮らしにとりいれる
好きなことを行うと、幸せホルモンのセロトニンが分泌されます。
楽器の演奏、プラモデルの組み立て、絵を描く、ウォーキングやランニングを行うなど、自分が心地よく感じることを実行することが、5月病の特効薬と言えます。
ストレスをありのまま受け入れる
ストレスは大なり小なり誰にでもあり、よくわからないものにおびえたり、イラつくのは多くの人が経験していることです。
ストレスを回避しようとやっきになるより、ストレスをありのまま受け入れることでストレス対策もでき、平穏な気持ちになれます。
悩みを誰かに打ち明けてみませんか?
悩みを人に知ってもらうことも大切です。しかしながら知っている人だと話しにくい、気まずくなりたくない、SNSで相談したいなどのご希望もあるかと思います。
その際は公的機関を頼り、お話を聞いてもらうことをオススメさせていただきます。
厚生労働省 -電話相談窓口-
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_tel.html
厚生労働省 -SNS相談窓口-
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_sns.html
まとめ
5月病の多くは一過性の症状と言われており適度な休息などで改善されることが多いです。
また体と心は連動しているので、辛い時やしんどい時はウォーキングやサイクリングなどで体を動かすとストレスが解消でき気持ちがスカッとします。
しかしながら、つらい症状が2週間を超えている場合は、医療機関に相談することを強くお勧めさせていただきます。
株式会社なかいまち薬局では街の健康な暮らしの相談所として市販薬や漢方薬やサプリメントのご相談も承っておりますので、ご不安や相談がございましたら気軽にご連絡ください。
監修漆畑俊哉(薬剤師)
- 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
- 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
- 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
- 在宅療養支援認定薬剤師