残薬で薬代の節約
薬には、ドラッグストアやコンビニでも買える「市販薬」と、医師が患者様を診察し、薬剤師が処方する「処方薬」があります。
薬剤師は、処方せんにそって調剤をしますが、症状や体質などにより、処方の内容が異なる場合があります。
処方薬は、一般的な市販薬に比べて効き目があり、副作用が出る場合もありますので、知り合いに同じ症状が出たからと、余った薬(残薬)を渡してはいけません。
そこで、本記事では、社会問題にもなっている残薬について、解説をさせて頂きます。
残薬とは
残薬とは、飲み忘れた薬や飲み残しの薬のことです。
薬をすべて飲み切る前に治った場合や、逆に薬を服用したが下痢気味になったため飲むのを止めてしまったなど、薬が残ってしまった原因は、患者様によって異なります。
残薬の社会問題化
薬が残っているにもかかわらず、薬局でまた同じ量の薬を受け取ってしまうと、必要以上の薬を保持することになってしまいます。
現在の日本では、同じことを繰り替えしてしまい、自宅に保存されている飲み残した薬の粗推計金額は、なんと年間に約500億円以上にもなると言われています。
わたくし達、薬の専門家である薬剤師が、リーダーシップをとって対策をしなくてはなりません。
残薬を減らすための取り組み
残薬が社会問題となっている今、株式会社なかいまち薬局では、残薬を減らす以下の取り組みを行っています。
服薬指導
お薬の飲み方や、お薬の意義を丁寧に説明させて頂き、患者様とコミュニケーションをとることにより、飲み忘れや飲みたくないという状況を少なくしています。
あわせて、お薬をお渡しする際、ご自宅にお薬が残っていないか確認をさせて頂いております。
薬剤師の患者様宅訪問
ご自身でお薬の管理ができない患者様には、ご自宅へお伺いさせていただき、かかりつけ医やケアマネージャーと連携をとり、患者様の代わりにお薬の管理を行っております。
それでは、その他の取り組みにつきましても解説をさせて頂きます。
おくすり手帳で残薬をなくす
おくすり手帳には、服用されている、または服用されていた薬の情報が記載されているため、残薬の確認ができ、残薬の軽減につながります。
そこで、国は残薬対策として、おくすり手帳を薬局に持参することで、薬学管理料(薬剤服用歴管理指導料)を安くすることにしました。
災害時や急病の時もお薬手帳は役に立ちますので、お薬手帳は常時持っておきたいですね。
残薬で薬代が安くなる
お薬自体を返却することはできませんが、残薬を医師や薬剤師へお伝え頂きますと、お薬の量を調整したり、新たな薬の処方を控えたりすることにより、お薬代を抑えることが可能となりますので、残薬がある場合は、病院や薬局へ残薬をお持ちください。
残薬の処分について
薬には飲み薬、軟膏や塗り薬、座薬、シップ薬、点眼薬、吸入薬、注射薬、貼り薬などがあり、それぞれ処分方法も異なります。
インシュリンなどの注射薬のポンプや針、麻薬や毒薬、劇薬、向精神薬などは特に処分の際、慎重になる必要があります。
万が一、処分方法に迷った際は、最寄りの薬剤師に気軽にご相談ください。
薬を残さない対策
病院で処方される薬は、飲む時間や期間が決められています。
市販薬と違い、処方された薬はその期間中に飲み終えてこそ効果が出るので、少し調子が良くなったからと、自己判断で飲むのを止めると症状がぶり返すことがあります。早く治すためにもお薬は正しく服薬するようにしましょう。
また、残薬が出てしまった場合は、次に同じ症状が出た場合に服用することはおすすめできません。
薬の使用期間が過ぎている可能性もあり、服用するとかえって健康を損ねることにもなりかねませんので、似たような症状でも異なる病気もあるため、残薬を飲まずに専門の医師に診てもらうようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
進む高齢化の中で、各家庭の残薬の占める割合は増え、医療費が占める国家予算は増える一方です。
なるべく残薬を出さないようにするとともに、残薬の適切な処理行い、今後の医療費を出来るだけ削減していきましょう。
残薬について、知りたいことや疑問がありましたら、遠慮なく薬剤師にお尋ねください。
監修漆畑俊哉(薬剤師)
- 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
- 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
- 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
- 在宅療養支援認定薬剤師