薬は冷蔵庫で保管?シロップ剤や目薬等の保管方法
病院や診療所で処方された薬や、市販の医薬品(OTC医薬品)の保管に迷うことはありませんか?
薬の保管にも、それぞれの適温や適所があるのですが、取りあえず冷蔵庫に入れておけば大丈夫だろうと、かなりの人がどんな薬も冷蔵庫に入れて保管されているようです。
本記事では、私たちの健康をつかさどる薬の適切な保管方法について解説します。
薬によって違う保管方法
薬の保管方法は、薬の説明書や薬袋などに書いてあるので、よく読んで指示通りに保管し、特に指示のない場合は室温で保管します。
その際は直射日光を避け、湿気の少ない涼しい場所に保管し、PTP包装(プラスチックとアルミで錠剤やカプセルを挟んだシート状の包装)は、包装された状態で保管します。
包装された薬をバラバラにして別の容器や袋などに入れて保管するのはやめましょう。
処方箋薬局の薬袋も、薬の有効期限などが記載されていることもあるので、捨てずに袋にいれたまま保管し、市販の箱に入っている薬も、容器のまわりの説明書、および箱の中の説明書を捨ててしまわないように、薬とともに保管をお願いします。
室温で保管する薬について
市販の散剤、錠剤、カプセル剤などのお薬は、基本的に室温で保管します。
病院で処方され、保険薬局で調剤された医薬品は、薬剤師から保管方法についての説明がなければ、原則、室温保存です。
そこで気になるのが「室温とは何度なの?」ということですが、厚生労働省の「日本薬局方」では、以下のように定義されています。
- 標準温度:2℃
- 常温:15~25℃
- 室温:1~30℃
- 微温:30~40℃
しかし、夏場には室温が30℃以上になることがあり、それでも冷蔵庫に保管しないで大丈夫なのかと、不安になってしまいますよね。
室温保管と明記されている薬は、保存条件のテストにて、40℃で6ヶ月以上安定していることが条件となっているので、夏場の数週間程度が、30℃を超えるくらいなら問題ないといえます。
もし、ご不安でしたら、北向きの部屋など家中で一番涼しいところで保管すると良いですね。
冷蔵庫での保存が向いている薬とは?
シロップ剤や液剤、目薬、坐薬、未開封のインスリンなどは、冷蔵庫での保存が向いていますが、シロップ剤や液剤は冷え過ぎる所に保管すると、凍ってしまうことがあるので気を付ける必要があります。
また、直接冷風が当たると製剤が凍ることがありますので、例えば、ドアポケット・バターケース・玉子ケースのような冷風の当たらない場所に置くと良いですね。
そして、冷蔵庫に保管する場合は、小さい子どものいる家庭では誤飲の注意が必要です。子どもの手の届かない高いところに保管するようにしましょう。
室温で保管と記入してある薬を冷蔵庫に保管すると、薬によっては、結露で湿気を吸ってしまうこともあるため、指示書や説明書を必ずチェックしてくださいね。
薬の形状による保管方法
以下、一般的な薬の形状による保管方法となります。お薬の説明書・指示書があればそれに従って保管ください。
薬の保管に際して「冷暗所に保存しましょう」というフレーズがよく登場します。
冷暗所とは、室内で温度が低く、直射日光が当たらず、風通しが良いところを指し、一般的には、15度以下のひんやりしたところが冷暗所といえます。
自宅にぴったりの冷暗所がない場合は、野菜室の一角に密閉容器や密閉の保存袋にお薬を入れて、湿気を寄せ付けないようにして保管すると5℃ぐらいの温度が保てますよ。
湿度や光によっても違う保管方法
薬を保管する場合、湿度や直射日光にも気をつける必要があります。
湿度について
粉薬や顆粒は湿気の影響を受けやすく、梅雨時などに湿度が多い所に置いておくと、変色したりカビが生えたりすることがあるため、湿気対策として、缶に乾燥剤を入れて薬を保管します。
ただし、お菓子の缶などに入れて目立つところに置いておくと、子どもが間違って口にするおそれがあるため、保管場所には気をつけましょう。
光について
光があたると薬の成分が分解される恐れがあるので、光を遮断できる場所に保管することが大切です。
また、遮光の必要のある目薬などは、必ず付属の袋に入れて保管しましょう。
薬の使用期限や有効期間について
薬の有効期限の目安は、次の通りです。
目安としては上記の通りですが、使用期限が短いお薬もありますので、調剤日から投与日数分迄を期限と考えるほうが良いですね。
お薬の誤飲
薬の誤飲は子どもだけでなく大人にもあり、大人の場合は高齢者に多く、薬をPTP包装シートごと飲んでしまう事例があげられています。
PTP包装とは錠剤の包装形態の1つで、錠剤やカプセルをプラスチックとアルミで挟んだシート状の一般的なものです。
信じられないと思われるかも知れませんが、シートごと飲んでしまったという誤飲の事例が毎年数件、消費者庁に届いています。
家族、薬局などでも事故防止のためのアドバイスが必要と言えます。
子どもが誤飲を起こさないための対策
小さな子どもがいる場合は、薬の管理には慎重になる必要があります。
子どもの前で薬を飲み、そのままテーブルに置いておくと、何か美味しいものだと思い、真似て飲んでしまうことがあるかも知れません。
お薬は、子どもの前で飲まないようにして、服用前後は子どもの目につかず、手の届かないところに保管するようにしましょう。
万が一、誤飲をしてしまった場合は、まずは、かかりつけの医師や薬剤師などに連絡をして指示を仰ぎましょう。
パニックになって無理やり吐かせたり、ネット等の情報を鵜呑みにして処置をした場合、かえって症状を悪化させてしまうこともあるため、気をつけましょう。
まとめ
お薬の効果について、ご質問を受けることは多いのですが、保管方法についてのご質問を頂く回数は少ないです。
病院や診療所で処方された薬などだけでなく、市販の医薬品(OTC医薬品)などでも、ご購入する際は、事前に薬剤師へ保管方法について確認をされることをオススメさせていただきます。
監修漆畑俊哉(薬剤師)
- 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
- 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
- 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
- 在宅療養支援認定薬剤師