水虫の原因と症状を徹底解説!
なかなか治らない水虫でお悩みではありませんか?日本人の4〜5人に1人が水虫と推測されており、とても身近な皮膚疾患といえます。
男女差はあまりなく、子どもにも感染する可能性がある病気です。正しく治療・感染予防をしていきましょう。
水虫とは
まずは、水虫という病気について詳しく解説します。
水虫の原因
水虫の原因は、「白癬(はくせん)菌」です。カビの一種による感染症なので、何気なく生活していれば周囲の人にも広がってしまいます。
「水虫は治りにくい」というイメージは多くの方がお持ちでしょう。
白癬菌には、皮膚の角質層や爪に含まれる「ケラチン」というタンパク質を分解する性質があり、この性質が治りにくさに繋がっています。
通常、皮膚の角質層や爪はバリアのような働きをしており、内側に菌などの異物は侵入しにくいのですが、白癬菌は角質層や爪の主成分であるケラチンを分解し、皮膚や爪を薄くし、ひび割れを起こすことで、そのスキマから奥まで侵入します。
奥まで白癬菌が侵入すると塗り薬ではなかなか浸透せず、見た目には治ったと思っても、治療をやめるとぶり返してしまう…というわけです。
感染経路
水虫の感染経路として、水虫の部位を直接触ることによる感染と、白癬菌が付着したものを介した感染の2パターンが挙げられます。
他人の水虫を直接触るという機会はあまりないかと思いますが、プールや温泉、サウナなどでは裸足同士が接触してしまうこともあるでしょう。
白癬菌が付着するものとして注意したいのが、バスマットや床です。
他人と共用のバスマットに触れた後は、24時間以内に丁寧に洗い流し、よく拭き取って乾燥させるようにしてください。
種類
水虫は、見た目や部位によっていくつかのタイプがあります。
爪白癬(爪水虫)
爪の内側にまで白癬菌が入り込んだタイプで、爪が分厚く・もろくなるため、触るとボロボロと崩れ、白〜黄緑色のような色に爪が変色したり、白い筋がいくつも入ったりします。
爪白癬にだけなるというよりは、趾間型などほかのタイプの水虫と一緒に発症することが多く、とくに自覚症状がないからといって、ネイルなどでごまかしていると爪がどんどんボロボロになり、なくなってしまいます。爪白癬の治療は皮膚科でないとできません。
趾間型
足の間の皮膚が白くふやけて、湿っぽくなるタイプの水虫で、ジュクジュクとしたり、皮が剥けたりと、水虫と聞いてイメージする方が多いタイプといえます。
夏場など、湿度の高い時期に悪化し、乾燥した季節になると症状が落ち着くという点が特徴です。
手白癬
水虫といえば足にできるイメージだと思いますが、手に症状が出る場合もあります。
足の水虫を触ることで手に感染することが多いため、手白癬のある方は足にも水虫があると考えましょう。小さなブツブツができたり、角質が厚くなりシワが深くなったりします。
角質増殖型
足裏全体の角質が厚く硬くなり、ひび割れなどを生じるタイプです。
あまり頻度は多くないですが、単なるかかとの乾燥によるひび割れと見分けが難しいかもしれません。かゆみも少なく、1年中変化が少ないのが特徴です。
小水疱型
足裏のフチに小さな水ぶくれがいくつもできるタイプの水虫で、水ぶくれが破れると、皮が剥けるようになります。
水虫の症状
水虫の多彩な症状をご紹介します。もし症状に心当たりがある場合は、かかりつけの薬剤師に相談、または皮膚科を受診しましょう。
かゆみや痛み
水虫の症状として、かゆみを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実際には、かゆみを伴う症状は10%ほどといわれています。
よくある趾間型では意外とかゆみ症状はなく、小水疱型の方がかゆみを感じやすいです。
ただれや湿疹
趾間型では、皮膚がただれたり、切れたりしますので、入浴後には足の指の間まできちんと水気をとる必要があります。タオルでゴシゴシせず、押し当てるようにして水気をとりましょう。
湿疹(ブツブツ)は、小水疱型や手白癬でみられ、とくに手白癬の場合、いわゆる主婦湿疹や洗剤かぶれと間違いやすいです。
ひび割れや皮がむける
角質増殖型や手白癬では、ひび割れが高頻度で生じます。乾燥だと思ってハンドクリームなどをつけていてもよくならなければ、水虫かもしれません。
かかりつけの薬剤師に相談や、皮膚科を受診してください。
趾間型や小水疱型では皮が剥ける症状がでやすいです。皮が剥けた箇所から細菌などが入り込み、感染症を起こしてしまうこともあります。
熱や腫れが出たり、滲出液の量が増えたりするようであれば、感染を起こしてしまった可能性があるため、受診しましょう。
強いにおい
水虫はクサイ、というイメージの方もいるかもしれませんが、じつは水虫自体はそれほど臭いはありません。
白癬菌が繁殖するような湿った環境で、靴下などが汗で濡れることで臭いが生じていると考えられます。
爪の変色や厚み
爪は全体的に白〜黄緑色に濁り、縦に線がいくつも入ります。
そして爪の厚みは通常の何倍にもなり、表面はガタガタに、断面はボソボソした感じになることが多いです。
進行すると、変形した爪が皮膚に食い込んで痛みが出て、歩きにくくなったり、転びやすくなったりすることがあります。
また爪白癬の治療には時間がかかりますので、できるだけ早いうちに治療を開始しましょう。
水虫の治療法
水虫は、放置していても自然に治ることはありません。しっかりと根気強く治療をすることが大切です。皮膚科を受診し、指示された通りの期間治療をおこないましょう。
また見た目がよくなっても、一般的に最低2週間以上は治療を続けなくては、ぶり返してしまいますので、以前に皮膚科で水虫と診断されたことのある方は、処方されたお薬と同じ成分の市販薬を購入するのもよいでしょう。
もし仕事や学校などで、1日に何度も塗布できない方は、1日1回タイプがおすすめです。1日に塗る回数も治療の効果に影響するため、生活リズムとの兼ね合いを考慮しましょう。
水虫予防法
水虫を予防するために、ご自身でできることを解説します。
靴や靴下の選び方
水虫のある方は、靴や靴下を選ぶ際、蒸れにくい通気性のよい素材のもの、サイズがキツくないものを選ぶことが大切です。
また、白癬菌はジメジメした環境を好むので、革靴など湿度を逃してくれない素材の靴を長時間履くことは避けましょう。
足の清潔法
入浴時には、足の指の間までしっかりと洗います。
特に大切なのは、洗った後にきちんと水気を拭き取ることで、濡れたままにしておくと、せっかく洗ったにも関わらず、白癬菌の好む湿った環境が出来上がってしまいます。
「濡れたらしっかり乾かす」を意識しましょう。
靴下も、濡れたままにしないことが重要です。
湿ったままの状態で靴を履いていると、靴の中の湿度が上がって白癬菌が増殖してしまいます。
雨や汗で濡れてしまった場合、取り替えられるように替えの靴下を用意しておきましょう。
共用スペースの注意点
カーペット、スリッパ、バスマットなど、ほかの同居家族と共用で使うものには注意が必要です。面倒ですが感染予防のため、水虫のある方は、家の中では靴下を履くようにしましょう。
そして、カーペットは頻繁に洗えないかもしれませんが、こまめに日光にあて、よく乾燥させてください。
また、入浴は、水虫のある方は最後にし、バスマットは毎日洗濯しましょう。白癬菌は高温に弱いため、洗濯に使用する水温を上げるか、乾燥機にかけると安心です。
まとめ
今回は、水虫について詳しく解説するとともに、対処法をご紹介しました。
水虫はなかなか治りにくい感染症です。見た目には治ったと思っても、数週間は治療を続けなくてはなりません。
根気強く治療を続けてください。また同居のご家族にも移りやすいので、ご家庭で対策をとりましょう。
参考
監修漆畑俊哉(薬剤師)
- 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
- 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
- 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
- 在宅療養支援認定薬剤師