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2024.2.1

薬剤師が教える医者と医療機関の選び方

薬剤師が教える病院の選び方

自分に合う医療機関へ上手にかかり、きちんと病気を治して、ご自身も安心できるという結果を得るためには、いくつか知っておきたいこと・気をつけたいことがあります。

そこで今回は、医者と医療機関の選び方についていくつかのポイントを解説します。

医療機関の機能には種類がある!

「とりあえず、どこへいくべきかわからなかったら大きい病院に行けばよい」と思っていませんでしょうか。

日本では国民皆保険制度があるため、どこの医療機関でも気軽にかかってよいと思われがちなのですが、じつは医療機関は機能・役割によって分けられています。

病院・クリニックの違い

医療機関のことを総称して「病院」という方がほとんどですが、じつは病院とクリニックはそれぞれ法律で定義が決まっています。

国民皆保険制度

クリニック

19人以下の方が入院できる・あるいは入院設備を持たない医療機関。「◯◯クリニック」「◯◯医院」「◯◯診療所」という名称がついている医療機関は、クリニックに該当します。

病院

20人以上の方が入院できる設備を持った比較的規模の大きい医療機関を指します。

国としては、日々のちょっとした体調不良・慢性的な経過で安定した状態の病気などを地域のクリニックで治療し、必要に応じて紹介を受けて病院へ行くという形を推奨しています。

なかいまち薬局・ぴょんすけ

国民全員でこのかかり方を守っていけば、必要な人に必要な医療が行き渡り、過剰な混雑を避けることが可能ですね。

大病院は「紹介状をもらってから」が基本

「大きな病院に行けば安心」と感じている方は多いですが、「◯◯市立総合病院」「△△大学病院」のような大きな病院は、「特定機能病院」などに定められていることが多く、基本的には紹介状をもらってから受診する病院です。

もちろん受診することはできますが、「次回から近所のクリニックへ行ってくださいね」などと伝えられる可能性があることは知っておきましょう。

補足

紹介状なしに個人の考えで大病院(※200人以上の入院設備がある病院)を受診した場合や、大病院からクリニックへ行くよう伝えられてもあえて大病院を受診する場合には、自己負担が増える可能性がありますので、注意してください。

救急外来は「緊急の病気を見つける場」

救急外来

基本的に、医療機関は「平日・日中」などの開院時間内に行きましょう。夜間や休日・祝日は営業していないところがほとんどです。

また、救急外来の役割は、夜間や休日に完璧な治療を提供することではありません。「緊急性の高い病気を見つけること」が主な役割なので、緊急の症状でない方は、改めて平日にクリニックなどを受診して、詳しい検査や治療をすることになります。

間違った救急外来の利用例

  • 日中は仕事で来れないので、救急外来に来た。
  • 夜の方が空いていると思い、あえて夜に来た。
  • 薬がなくなったのでもらいたい。

このような間違った利用方法をする方が増えると、救急外来が必要以上に混雑してしまいます。その結果、本当に緊急の病気の方が助からなくなるほか、時間がなく丁寧な説明を受けられない・余分なお金がかかるなどご自身にとってもよい結果にはなりません。

信頼できる医療機関の探し方

自分の健康を任せられる、信頼できる医療機関はどのように探せばよいでしょうか。いくつかのポイントをお伝えします。

「専門医」かどうか

専門医■

医師がどのような疾患に詳しいのか、その指標としてわかりやすいのが「専門医」を取得しているかどうかです。

専門医となるためには一定の条件をクリアする必要があり、専門医であれば知識や技能が担保されていると考えることができます。

「小児科専門医」、「内科専門医」など、なんらかの専門医を取得している医師であれば、おおむね安心して標準的な治療が受けられるでしょう。

スタッフとの相性

医療スタッフとの相性

医療従事者と患者の関係といえど、人と人とのコミュニケーションですから、「相性が合わない」と感じることもあるかもしれません。

医師をはじめとしたスタッフやクリニック自体に求めるものも、じっくり話を聞いてほしい・時間通りにサッとみてほしい・病気が治れば他は気にしない・Web予約がよいなど、人それぞれです。

不安やストレスなく通える医療機関を探すのがよいでしょう。

上手に受診するために

上手に受診するためには、患者の立場からも意識できることがあります。上手に医療機関を受診できる「賢い患者」になりましょう。

事前に伝えたいことを整理する

医療機関はどこも混み合っていて、「ゆっくり患者さんの話を聞きたい」と思ってはいても、現実的にはうまくいかないこともあります。

「今日はどうしましか」と聞かれた時に症状の経過を簡潔に説明できるように、時系列を整理しておくとよいかもしれません。

たとえば、下痢が続いていて受診する場合なら、「12/20:下痢2回、12/21:下痢4回」のように経過のメモを受付で渡すと、状況が伝わりやすいです。

症状メモ

また、お薬手帳がある方は、持参しましょう。

何科に行けばいいかわからないときは?

何らかの症状で困っていても、何科に行けばわからなくて放置してしまったという経験のある方は少なくありません。そういった場合には、いくつかの方法があります。

かかりつけ医で聞いてみる

かかりつけの医師や、クリニックの看護師などに相談してみるのが1つの方法です。「手の痺れを感じるのですが、何科に行けばいいでしょうか?」など、伝えてみてください。

調剤薬局で相談する

調剤薬局でも、ご相談に乗ることができるかもしれません。また、「ひとまずは市販薬で対応してみたい」という場合にも、飲み合わせなどを考慮した提案も可能です。

お薬手帳や採血データなどがあればお持ちください。

AIを活用する

インターネットでいくつかの質問に答えるとAIを活用してどのような病気か何科に行くべきかについて、アドバイスを受けられる「ユビー」というサービスがあります。

かかりつけのクリニックや調剤薬局がない場合は活用してみてください。

まとめ

今回は、医療機関の選び方・かかり方についていくつかのポイントをご紹介しました。

ご自身や家族の健康を維持するため、必要なときはきちんと医療機関を受診し、治療をおこないましょう。もし、何科に行けばよいかわからない場合は、調剤薬局でも相談に乗ることが可能です。ぜひご活用ください。

参考

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監修漆畑俊哉(薬剤師)

漆畑俊哉(薬剤師)
  • 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
  • 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
  • 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
  • 在宅療養支援認定薬剤師

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