薬剤師がオススメする花粉症に効く薬!
「また花粉症の季節が来てしまったか…」と、憂鬱な気持ちの方が増えてくる頃ですね。実際、日本人の40〜50%が鼻炎で、30〜40%が花粉症とのことです。
今回は、たくさんの方が悩んでいる花粉症に効く市販薬や、花粉症対策について解説します。
花粉症はアレルギー反応の1つ
花粉症は、アレルギー反応の1つで、鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどを伴うものです。
日本では、スギやヒノキ、ブタクサ、シラカンバなどのアレルギーが多く、特にスギ花粉症の方は年々増加しています。
花粉症のメカニズム
花粉症は鼻から侵入した花粉に対して、体が過敏に反応し、鼻水やくしゃみといったアレルギー症状が出ている状態で、アレルギー反応の主な原因物質は、花粉が鼻の粘膜につくと大量に分泌される「ヒスタミン」です。
鼻水もくしゃみも、花粉を体の外に出すために必要なものですが、あまりに症状がひどいと日常生活に支障が出てしまいますよね。
支障が出るほどの症状は薬で抑え、少しでも楽に過ごせるようにしましょう。
花粉症になるのはどんな人?
花粉症は、体質的にアレルギーの多い方がなりやすいといわれています。
元々は花粉症ではなかったとしても、大人になってから花粉症を発症することも少なくありません。これは、長い時間をかけて花粉に暴露され続けることで、鼻の粘膜がだんだん過敏になった結果です。
よって今は花粉症ではないとしても、花粉にさらされないようにマスクなどを着用して過ごすことで、発症予防に繋がります。とくにアレルギー体質の方や、花粉の飛散が多い地域の方は意識しておきましょう。
花粉症に使える市販薬
花粉症には、体の中でヒスタミンが働かないようにブロックをする「抗ヒスタミン薬」がおすすめです。抗ヒスタミン薬は、大きく2種類に分けられます。
利用しやすい花粉症の薬
比較的どんな人にも使いやすい抗ヒスタミン薬が「フェキソフェナジン」です。
フェキソフェナジンは眠気が出にくいので、学校や仕事など日中に活動したい人でも使用できます。あまり即効性はないので、花粉症の症状が出る少し前から定期的に飲み続けるのがよいでしょう。
即効性のある花粉症の薬
今すぐに効果が欲しい方には「クロルフェニラミン」「ジフェンヒドラミン」という抗ヒスタミン薬がおすすめです。
即効性があるため症状が辛いときにピンポイントで使うことができますが、市販の睡眠薬として使われるほど強い眠気が出ることがあるので、車や自転車の運転は避けてください。
そのほか、口が乾く・便秘といった副作用も出る可能性があります。また前立腺肥大症の方、緑内障の方は使用できません。
クロルフェニラミンやジフェンヒドラミンは常用する薬というよりは、今日は絶対に症状を出したくないときや、どうしても辛いときに頓用するのに向いている薬です。
常用する薬というよりは、今日は絶対に症状を出したくないときや、どうしても辛いときに頓用するのに向いている薬ですね!
花粉症にオススメの漢方
漢方薬を試したい方は、「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」はいかがでしょうか。体の中の水分量を調整するように働き、鼻水の量を減らします。
その他にも、点鼻薬で鼻づまりに有効なものがいくつか市販されています。持病などによっては使用できないケースもありますので、薬剤師や登録販売員に相談してみてください。おすすめの花粉症対策
薬以外に、花粉症の対策で有効とされている商品を紹介します。
マスクやメガネで花粉症対策
多くの方が実践していると思いますが、マスクとメガネは花粉症対策にとても重要です。
マスクを正しくつけることで、鼻の粘膜に付着する花粉の量をおよそ85%減らすことができると言われています。今は新型コロナウイルス感染症対策で、多くの方がマスクを着用していると思いますが、マスクのサイズは正面から見たときに、頬が見えないくらいのサイズを着用してください。
また、マスクの正しい付け方ができているかどうか確認しておきましょう。
さらに、マスクの内側にインナーマスクを入れ込めば、ほぼ100%の花粉をカットできるという報告もあります。
インナーマスクを使う際は、花粉に洗い残しがあると症状が出てしまいますので、洗って使うタイプではなく、使い捨てタイプの方が花粉症対策には適しています。ガーゼや化粧用コットンなどをインナーマスクとして使用することも可能です。
また、花粉症用のメガネを着用すると、メガネなしの場合と比べて70%近くも目に付着する花粉の量を減らせると言われており、手持ちのメガネの上から装着するものも売られています。
お手頃価格で、見た目にも違和感の少ないものが多いので、一度試してみても良いですね。
お酒・タバコは控えめに
関係ないように思われるかもしれませんが、お酒は花粉症に悪影響です。
お酒は血管を広げる働きがあるため、鼻づまりや目の充血が悪化してしまいます。
また利尿作用により脱水を起こすため、鼻水の量が減り、花粉を体の外に出す機能が弱くなるため、花粉がいつまでも体の中に残り症状がおさまりません。
なお、アルコールが分解されてできるアセトアルデヒドという物質は、ヒスタミンを放出させる働きがあり、直接的に花粉症を悪化させることもわかっています。
花粉症の症状が強いときは、お酒は飲まないようにしましょう。
規則正しい生活を
花粉症が多くなる春先は、新しい生活で無理をしてしまうことや、お子様の卒業・進学の準備などで生活リズムが崩れがちになります。
睡眠不足や疲労は、自律神経や免疫細胞、各種ホルモンのバランスが崩れるなど、花粉症が悪化する要因になります。
毎日一定の時間に寝て起きること、入浴やストレッチで体をリラックスさせること、睡眠時間を十分確保することなどが大切です。
寝起きの鼻水が気になる方もいるかもしれませんが、あまり花粉は関係ありません。
朝は、副交感神経から交感神経へ神経を切り替えるため、一時的にほこりなどに対して過敏になっていたり、朝の鼻水の中には炎症を引き起こす細胞(好塩基球)が多かったりするため、鼻水が出やすいです。
食事療法で花粉症対策
「◯◯を食べて花粉症予防!」とよく耳にしますが、医学的には「これだけ食べれば花粉症を改善できる」という食べ物はありません。
民間療法のレベルでは、紅茶やネギ、ニンニク、シナモン、ごぼう、乳製品、発酵食品などが花粉症に良いとされています。ですが食事療法は誰でも効果が得られるというわけではありません。
以前、民間療法を取り入れている患者様を対象に、花粉症の改善実感があったかアンケートをとった調査がおこなわれました。その結果、漢方薬で50%、食品類は15%程度が多く、ほとんどは30%以下しか効果が実感できていなかったそうです。
スーパー等で手に入る通常の食品であれば、特に体に害をなすことはないでしょうから、お守り程度に花粉症対策として食事療法を取り入れるのは良いかもしれません。
特定のものばかり食べるのではなく、健康のためにバランスよく食事をとるようにしましょう。
花粉症の症状が重い方は受診を
「花粉症の時期になると、つらくて何も手につかない」
そんな風に悩んでいる方は、花粉のシーズンになる前から治療を開始してアレルギー症状を抑える「舌下免疫療法」がおこなえる場合があります。
また、ただの花粉症だと思っていても、別の病気が隠れているかもしれません。蓄膿症や鼻中隔湾曲症なども、鼻水や鼻づまりが生じる病気の代表例です。
症状が重いけどしばらく受診していなかったという方は、かかりつけの薬剤師へ相談や、この機会に耳鼻咽喉科などを受診してみてはいかがでしょうか。
まとめ
花粉症は、日本人の30〜40%もの人が悩んでいる国民病ともいえる病気です。
病院で出される薬と同じ成分のものも含め、たくさんの種類の市販薬が販売されています。生活や仕事に支障が出ないよう、症状やシーンに合わせて薬を使ってみてはいかがでしょうか。
また、薬だけでなく、花粉症対策のグッズを使ったり、生活習慣の見直しをおこなったりすることも大切です。それでも症状がつらい方はかかりつけの薬剤師や耳鼻咽喉科などを受診して、予防的な治療ができないか相談してみてください。
監修漆畑俊哉(薬剤師)
- 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
- 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
- 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
- 在宅療養支援認定薬剤師