健康とウォーキングの密接な関わり
2020年から続く新型コロナウイルスの流行により、家で巣ごもりをしている方も多いのではないでしょうか。
家にいる時間が長くなると、当然、歩くことが少なくなるのですが、ウォーキング量と健康が密接に関わっている事はご存知でしょうか?
本記事では、「最近歩いていないかも」と感じた方へ、ウォーキングと健康の関係について解説します。
ウォーキングで予防できる病気がある
下記の『1年の1日平均の身体活動からわかる予防基準一覧』は、群馬県中之条町で行われた研究で、健康づくりにおいて必要な「中強度の活動時間」(早歩き)と「歩数」、「予防できる病気」が示されています
1年の1日平均の身体活動からわかる予防基準一覧
2,000歩
(早歩き時間:0分)予防できる病気:寝たきり
4,000歩
(早歩き時間:5分)予防できる病気:うつ病
5,000歩
(早歩き時間:7.5分)予防できる病気:要支援・要介護、認知症(血管性認知症、アルツハイマー病)、新疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)
7,000歩
(早歩き時間:15分)予防できる病気:がん(結腸がん、直腸がん、肺がん、乳がん、子宮内膜がん)、動脈硬化、骨粗しょう症、骨折
7,500歩
(早歩き時間:17.5分)予防できる病気:筋減少症、体力の低下(特に75歳以上の下肢筋力や歩行速度)
8,000歩
(早歩き時間:20分)予防できる病気:高血圧症、糖尿病、脂質異常症、メタボリック・シンドローム(75歳以上の場合)
9,000歩
(早歩き時間:25分)予防できる病気:高血圧(正常高値血圧)、高血糖
10,000歩
(早歩き時間:30分)予防できる病気:メタボリック・シンドローム(75歳未満の場合)
12,000歩
(早歩き時間:40分)予防できる病気:肥満
引用:中之条研究「1年の1日平均の身体活動からわかる予防基準一覧」
「早歩き時間」は、歩いている間に早歩きをする時間(中強度運動)で、病気の予防・改善に必要な時間です。
上記から特に注目したい点が2つあります。
この研究は65歳以上が対象となっていたので、もちろん若い人がすぐに寝たきりになるわけではありませんが、2,000歩以下の生活をずっと続けていると将来的に寝たきりになる可能性があります。
日々運動している方や、体を動かすことが多い仕事の方は大丈夫でしょうが、デスクワークで普段運動をしていない方は、1日の平均歩数が2,000歩に届かないことがあります。
一方で、1日8,000歩以上ウォーキングすることで、多くの病気が予防・改善する可能性があります。
ただ、1日8,000歩以上はかなり意識しないと歩けませんし、一気に8,000歩以上のウォーキングはかなりしんどいので、オススメは1日の間で2回や3回に分けて歩くことです。
特に暑い夏は、朝や夕方の少し涼しくなった時に歩き、1日の合計で8,000歩を目指しましょう。
歩数を増やす工夫
お仕事が忙しい方や子育て中の方は、ウォーキングの時間を取ることも難しいと思いますが、仕事も子育ても健康・元気だからこそです。できることから初めてみましょう。
また、最近のスマホには歩数を記録する機能があるので、スマホを確認することでモチベーションの維持につながります。
もし、スマホを持っていないという場合は、ウォーキングをしている時間を思い出しましょう。
目安として10分間ウォーキングをすると大体1,000歩と言われていますので、ウォーキング時間でおおよその歩数を確認すると良いですね。
ウォーキングは、楽しみながら続けることが大切ですね!
歩くと骨が強くなる
上記『1年の1日平均の身体活動からわかる予防基準一覧』の7,000歩の項目に「骨粗鬆症」と「骨折」があるとおり、様々な研究で歩くと骨が強くなることがわかっています。
この7,000歩の項目「骨粗鬆症」は骨が弱くなる病気で、歳をとると多くの人がなり、当然、骨が弱くなると骨が折れやすくなります。
「手首の骨」、「腰の骨」、「足の付け根」などは骨が弱くなると折れやすい骨で、腰や足の付け根の骨が折れると歩けなくなり、さらに骨が弱くなってしまいます。
「骨が弱くなる」→「骨折する」→「骨が弱くなる」→「骨折する」→・・・・と、どんどん骨が弱くなっていってしまいます。
つまり最初に骨が弱くなる「骨粗鬆症」を予防することが大切になります。
「骨粗鬆症」を予防するためにもどんどんウォーキングをしましょう。
また、ウォーキングをすると骨が強くなるのは高齢の方に限った話ではなく、成長期の子供もウォーキングをすることで骨が強くなります。
子供の頃に骨を強くしておく事は、大人になってからの骨粗鬆症の予防にもなるので、子供の頃からウォーキングをすることはとても重要です。
サプリメントで補う
骨を強くするためには「ウォーキング」だけでは足りません。「骨の材料」も必要になります。
骨の材料と聞くとカルシウムですよね。
カルシウムと言えば小魚や牛乳・ヨーグルトなどの乳製品を思い浮かべる方も多いと思いますが、カルシウムは食品として摂取しても体に吸収される量が少ない栄養素です。
そのためサプリメントで補う方法も有効です。
特にカルシウムとマグネシウムが一緒になっているものは、カルシウムの吸収を良くしてくれるのでオススメです。
DHC カルシウム/マグ
ディアナチュラ カルシウム・マグネシウム・亜鉛・ビタミンD
また骨の材料はカルシウムだけではなく、ビタミンも必要になります。
特にビタミンD・Cが必要と言われますが、これを全て食事だけで摂るのは難しいので、こちらもサプリメントに頼ってみる方法もあります。
オススメなのがNature Made(ネイチャーメイド)シリーズで、特に「スーパーマルチビタミン&ミネラル」はカルシウム+マグネシウム+ビタミンC/Dも入っているのでお勧めの一品です。
大塚製薬 ネイチャーメイド
ウォーキングは腰痛予防にもなる
ウォーキングと腰は関係ないのではと感じられるかと思いますが、ウォーキングで腰痛が改善・予防できるという研究は多くあります。
なぜ、ウォーキングで腰が痛く無くなるのか。その答えは「筋肉がつくから」と言われています。
実は、足を持ち上げる筋肉は腰の骨にもついています。
歩く時は必ず足を持ち上げていますよね。そのため歩くと腰の周りの筋肉も鍛えられ、腰を支えることができるようになります。
ただ、腰が痛いまま歩くと変な姿勢で歩いてしまい、膝や股関節など他のところが痛くなってしまう可能性がありますので、痛み止めや湿布を上手に使い痛みを軽くした状態で歩くようにしましょう。
痛みがひどい場合は、医師や薬剤師にご相談くださいね。
歩くことは子供の成長にも重要
子供の頃に歩くと骨が強くなると上述しましたが、それ以外にも子供にとって歩くことはとても重要です。
子供はウォーキングで「運動能力の向上」、「脳の成長」が得られ、その他にも下記のようなメリットがあります。
子供の体力や運動能力の低下
近年、子供の体力や運動能力の低下が問題となっています。
子供の体力や運動能力の低下は、家で遊ぶ子が増えてしまっているせいと言われています。
小さい頃からなるべく外に出て遊んだり、歩いたりするようにしましょう。また、子供は様々な物事を新鮮に感じる能力が高いので、脳の成長にも外を歩くことはとても重要です。
子供と一緒に外を歩いていると、一人で歩いている時に気づかないことを子供が発見することはありませんか?
子供は好奇心の塊です。常に「これはなんだろう?」、「どんな感触なのだろう?」と5感をフルに使って生きています。
そして実際に触ったり匂いを嗅いだりして様々なことを理解し、成長していきます。
脳の成長のためにも、是非子供と一緒に散歩をして、子供の「なぜ?」に答えたり、時には一緒に何故だろうと考えたりするとよいですね。
もし、子供が外へ出たがらない場合は、「ポケモンGO」や「ドラゴンクエストウォーク」、その他健康促進アプリなどを利用して、子供と一緒に楽しみながら歩くのも良いですよ。
子供は大人に比べて歩幅が小さいので、大人には楽な距離・短時間の散歩でも、子供にとってはしんどいことがあります。
ウォーキングをする時には子供のペースで歩くようにしましょう。
また子供はペース配分ができません。帰りのことを気にせずに遊んだりすることがあり、急に力尽きることがありますので、歩く距離や遊ぶ時間などは子供の体力にあわせて調整をしましょう。
まとめ
今回は「健康とウォーキング」に注目してみました。
歩くことは健康の第1歩であり、成長においてもとても重要なことです。
ウォーキングは屋外で換気もよく密にもならないので、コロナ禍でも可能な運動です。
感染対策で不要不急な外出を控えることは重要ですが、歩くことは(緊急ではないものの)必要なことです。
この記事を読んだ方は明日から、いえ今日から毎日8,000歩を目指してウォーキングで健康な生活を始めましょう。
監修漆畑俊哉(薬剤師)
- 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
- 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
- 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
- 在宅療養支援認定薬剤師