保険証は使えなくなる?マイナ保険証を使おう!
皆さん、マイナンバーカードをお持ちでしょうか?マイナンバーカードには様々な機能があり、保険証として利用できることをご存知ですか?
令和6年12月2日以降、従来の保険証は新たに発行されず、マイナンバーカードを保険証として利用する「マイナ保険証」に切り替わります。
また、発行済みの保険証については、令和7年12月2日をもって失効します。
この記事ではマイナンバーカードや保険証の廃止などについて詳しく解説していきますので、是非この機会に理解を深めていただければと思います!
保険証とは
世間一般には「保険証」と呼ばれていますが、正式名称を健康保険被保険者証といいます。
国民皆保険
日本では、国民皆保険制度が導入されています。国民皆保険制度とは、全ての人が公的医療保険に加入し、全員が保険料を支払うことでお互いの負担を軽減する制度のことです。
日本の公的医療保険制度には、「被用者保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」の3つの種類があります。
被用者保険
被用者保険とは、サラリーマンなどの被用者やその扶養家族を対象にした健康保険のことを指します。被用者保険の種類は、主に以下の4つに分類されます。
組合管掌健康保険
大企業の被用者を対象とした健康保険
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)
中小企業の被用者を対象とした健康保険
船員保険
船員が対象
共済組合
公務員が対象
国民健康保険
国民健康保険は、市区町村が運営する医療保険制度です。主に自営業や農業、無職の人など企業に所属していない人が加入します。
後期高齢者医療制度
後期高齢者医療制度とは、75歳以上もしくは65歳以上で障害を持つ高齢者が加入する公的医療保険制度です。
保険証は使えなくなる?
結論から述べると、近いうちに保険証は使えなくなる!
マイナンバーカードを保険証として利用できるようになった、「マイナ保険証」のしくみを基本としていく方針のためです。
新規発行の終了
令和6年12月2日をもって従来の保険証の新規発行は終了します。
経過措置期間
令和7年12月2日までの1年間は経過措置期間として、従来の保険証の利用が可能です。
ただし、令和6年12月2日から令和7年12月2日の経過措置期間中に有効期限が到来した場合や、転職・転居などで保険者の異動が生じた場合は、保険証は失効します。
マイナ保険証を利用するには
マイナンバーカードの取得
まず、マイナンバーカードを取得しましょう。マイナンバーカードが手元になければマイナ保険証の利用はできません。
スマートフォン等からマイナンバーカードの申請をすると、お住まいの市区町村にマイナンバーカードが送付されます。その後必要なものを持って窓口でマイナンバーカードを受け取りましょう。
詳しくはこちらの「マイナンバーカードの申請手続き 地方公共団体情報システム機構マイナンバーカード総合サイト」で確認できます。
健康保険証利用の申し込み
マイナンバーカードをお持ちの方は、いずれかの方法で申し込みが必要です。
- セブン銀行ATMで申し込む
- スマートフォンから「マイナポータル」というアプリで申し込む
- 医療機関で顔認証つきカードリーダーから申し込む
顔認証つきカードリーダー利用方法
- 医療機関・薬局にて、顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを入れてください。※顔認証付きカードリーダーには複数の種類(5メーカー)があるようですが、やり方は変わりません。
- 顔認証、または4桁の暗証番号入力のどちらかを選択して、本人確認を行います。
- 医師・薬剤師に提供する情報(過去の診療・薬剤情報、特定健診情報など)についての同意を求められるので、回答していただくと終了です。
詳しくはこちらの「デジタル庁 マイナンバーカードの健康保険証利用」で確認できます。
マイナ保険証のメリット
特定健診や診療の情報を医師と共有でき、重複検査のリスクが少なくなります。
- 薬の情報も医師・薬剤師と共有でき、重複投薬や禁忌薬剤投与のリスクも減少。
- 旅行先や災害時でも、薬の情報等が連携されます。
- マイナポータルで医療費通知情報を入手でき医療費控除の確定申告が簡単。
- 医療費が高額な場合に申請する「限度額適用認定証」が省略できます。
- 就職や転職後の保険証の切り替え・更新が不要。
- 高齢受給者証の持参の必要もなくなります。
データ化されることで診療情報などが共有され、より良い医療に繋がります。医師・薬剤師や、事務職員の負担も軽減されます。また、手続きが楽になるのも嬉しいポイントですね。
マイナ保険証の安全性
デジタル庁によると以下のように記載されています。
紛失時の一時停止
24時間365日のコールセンターを設置
仮に紛失した場合、個人番号カードコールセンターに電話で連絡すれば、カードの一時停止措置が取られ、カードの第三者によるなりすまし利用を防止します。
マイナンバーカード券面
顔写真付のため悪用は困難
仮に紛失しても、第三者が容易になりすますことはできません。
各種対策により偽造は困難
文字をレーザーにより彫りこむとともに、複雑な彩紋パターンを施す等により、券面の偽造を困難にしています。
ICチップ
ICチップには必要最小限の情報のみ記録
「税関係情報」や「年金関係情報」など、プライバシー性の高い情報は記録されません。
ICチップに記録されている情報を確認可能
券面事項表示ソフトウェアを利用し、ICカードリーダ/ライタにかざすことで、ICチップに記録されている情報を確認することができます。
記録情報の盗取は困難
不正に情報を盗取しようとする各種手法に対し、自動的に記録情報を消去する機能など、対抗措置を施しています。
セキュリティの国際標準の認証を取得
ICカードのセキュリティの国際標準である「ISO/IEC15408認証」を取得しています。
利用には暗証番号が必要
電子証明書ごと、アプリごとに、暗証番号が設定されています。仮に紛失しても、取得した第三者は、暗証番号を知らないとなりすましできません。また、暗証番号は、入力を一定回数以上間違えるとロックされます。
マイナンバー制度は情報を一か所に集めて管理する仕組みではありません。そのため情報がまとめて漏れることはありません。
また、手続きを受け付ける行政職員だけが、その手続きに必要な情報に限ってアクセスすることが許されています。
医師・薬剤師は、診療などに関係する情報のみを閲覧できるということです。
まとめ
令和6年12月2日をもって従来の保険証の新規発行は終了します。その後、令和7年12月2日までの1年間は経過措置期間として、従来の保険証の利用が可能です。
しかし、令和6年12月2日から令和7年12月2日の経過措置期間中に有効期限が到来した場合や、転職・転居などで保険者が変わった場合は、保険証は失効してしまいます。
また、マイナ保険証を利用するとより良い医療に繋がるほか、手続きが簡略化されるなどのメリットもありました。
これからそう遠くない未来では、マイナ保険証での受付が当たり前になっていくでしょう。マイナ保険証を利用するにはマイナンバーカードが必要です。
今のうちにカードの準備や、制度の理解を深めておきましょう!
監修漆畑俊哉(薬剤師)
- 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
- 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
- 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
- 在宅療養支援認定薬剤師