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2024.5.29

肌を守る最強の盾!薬剤師が教える日焼け対策

肌を守る最強の盾!薬剤師が教える日焼け対策
日差しが強くなってきましたね!今年の夏は、海へ!山へ!お出かけを考えている方も多いのではないでしょうか。その前に!日焼け対策は万全ですか? 今回は、飲んでいるお薬の影響で日焼けしやすい?日焼け止めとお薬、塗る順番はどっち?紫外線を防ぎ、肌を守る方法について薬剤師ならではの視点で解説します。

日焼けのメカニズム

赤い日焼けと黒い日焼け

紫外線を浴びて数時間後から皮膚が炎症を起こして赤くなる日焼けのことを英語で「サンバーン(Sunburn)」といいます。 これは、紫外線が皮膚の細胞を傷つけることで、皮膚が赤く腫れ、痛みやかゆみが起こる、いわゆる、ヤケドの状態のことです。 そして、赤い日焼けが落ち着き、その後に皮膚が黒くなる日焼けのことを「サンタン(Suntan)」といいます。
赤い日焼けと黒い日焼け
これは、サンバーンがきっかけとなって、皮膚を防御する働きのある黒色の色素(メラニン色素)が大量に作られることで、メラニン色素は紫外線をとてもよく吸収するので、肌の色を黒くして、次に紫外線にさらされる機会に備える、生体防御反応と考えられています。

日焼けの原因は「紫外線」

紫外線は、眼には見えませんが、太陽の光に含まれていて、一年中、地球に降り注いでいます。
日焼けの原因は「紫外線」
太陽から放たれた紫外線が地球に届くとき、成層圏にあるオゾン層でほとんどの紫外線は ブロックされますが、1990年代、オゾン層は環境破壊により減少してしまい、地上に届く紫外線量は増加しました。 近年では、環境対策によりオゾン層は緩やかに増加していますが、同じく環境対策で大気汚染も減少したため、大気が透き通って紫外線を遮るものがなくなり、地上に届く紫外線量が増えているともいわれています。

日焼けは夏だけじゃない

暑くなると日焼けするイメージがありますが、暑さと紫外線は関係ありません。暑さを感じるのは赤外線であって、紫外線は一年中、降り注いでいます。なお、紫外線は以下の特徴があります。
  1. 南に行くほど強い。
  2. 1 年のうちでは春から初秋にかけて強い。
  3. 1 日のうちでは正午をはさむ数時間が強い。

日焼け(紫外線による)メリット・デメリット

紫外線は、体にとって、圧倒的に悪い面が多いと考えられています。

メリット

ビタミン D の生合成

骨や歯の形成に関わるビタミン D が体内で作られることに関与します。これは日常生活で浴びる程度の紫外線で十分ですし、ビタミンⅮはお食事から摂取することもできます。無理に紫外線を浴びる必要はありません。

デメリット

皮膚の良性・悪性の腫瘍の発生リスクを高める
特に赤い日焼けだけが起こり、黒い日焼けを起こさないタイプは、皮膚ガンのリスクが高いと言われています。
皮膚の免疫反応の低下
アウトドアレジャー後に口唇ヘルペスを発症したことはありませんか?紫外線による免疫反応の低下と考えられています。
眼の障害
結膜充血や紫外線角膜炎(雪眼炎)、翼状片(よくじょうへん)、白内障(はくないしょう)などを起こします。 欧米人は、眼窩(目のくぼみ)がひさしの役割をして紫外線が直接、眼にあたりにくいとされますが、日本人は骨格の上からも紫外線による眼の障害が起こりやすいといわれています。
光線過敏症
ある特定のお薬を飲んでいる方が、紫外線にあたると、サンバーン現象を起こすことがあります。その場合、十分な日焼け対策が必要です。

なかいまち薬局・ぴょんすけ

その他にも「日焼け(サンバーン)を起こす」、「シミやしわの原因となる」などがありますね。

今すぐできる基本の日焼け対策

紫外線予報を見てみよう

紫外線予報 紫外線予報を確認し、紫外線の強い時間帯の外出を避けましょう。 気象庁のホームページでは、日本各地の紫外線分布が出ています。時刻毎の紫外線の強さが色分けされておりわかりやすく、お住まいの地域や旅行先の状況の予測にも役立ちます。

肌の露出

日焼けと肌の露出 つばの広い帽子をかぶる、日傘をさす、長袖やラッシュガードを着る、アームカバーやネックカバーをつける、などの対策をとるとよいでしょう。サングラスもお忘れなく。

日焼けの予防になる食材

日焼けの予防になる食材 抗酸化作用の期待できるビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどがよいとされています。肉類、魚介類、乳類、卵類、油脂類、藻類、野菜類、果実類などに含まれていますので、バランスよくとりましょう

日焼け止めを塗る

日焼け止め 日焼け止めは、紫外線が皮膚の細胞に浸透するのを防ぎます。肌の弱い方はご使用前にぜひ薬剤師にご相談ください。

日焼け止めと塗り薬、塗る順番

お薬と日焼け止めと、どちらを先に塗るのが良いでしょうか?答えは『お薬が先』です。体を洗って清潔にした後は下記順で塗ります。
  1. 保湿剤
  2. 外用薬(ステロイド外用薬など)
  3. 日焼け止め
  4. 化粧品
ファンデーション等の化粧品は患部を塞いでしまうので、お薬を先に塗ってから使用します。
なかいまち薬局のぴょんすけ
医師の指示がある場合は、そちらに従ってくださいね。

日焼けした時のアフターケア

日焼けしてしまったときは

冷却

サンバーンは、ヤケドです。すぐに冷却しましょう。ほてりや赤みなどの熱をおさえることが大切です。濡れタオルに氷や保冷剤をくるみ、日焼けした部分を冷やすのがおすすめです。このとき、いわゆる熱さまし用の冷却シートは使わないように。シートの粘着剤が皮膚に負担になります。

保湿

ほてりや熱がおさまってきたら、次は皮膚を清潔にしつつ保湿をしましょう。低刺激性の化粧水などがよいでしょう。

サンタンを防ぐ

サンバーンがおさまると、今度はメラニン色素が増えてきます。色素沈着を抑えるために、ビタミンCを摂ると良いでしょう。

まとめ

地球環境の変化や、さらにわたしたち日本人は肌の色や骨格から紫外線の影響を受けやすいと言えます。 紫外線を過度にあびると、日焼けやしみ・しわの原因となるだけでなく、皮膚ガンや白内障などの疾患のリスクが上がることも知られており、日焼けは「健康的」なものから「避けるべき」ことへと認識が変化しており、すべての年代の方に適切な紫外線対策が必要です。 また、紫外線対策に有効である日焼け止めは、「紫外線吸収剤」や「紫外線散乱剤」などの薬剤を含有しており、乳幼児や皮膚が弱い方の使用には注意が必要なこともあります。あなたに合った日焼け止めを選ぶ際に、薬剤師にぜひご相談ください。

参考

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監修漆畑俊哉(薬剤師)

漆畑俊哉(薬剤師)
  • 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
  • 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
  • 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
  • 在宅療養支援認定薬剤師

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