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2024.9.5

早めの感染症対策|最新の感染症とは?

外に出るのが危険なほどの暑さから一変し、涼しくなったかと思えばすぐに冬がやってきますね。暑さによる熱中症の危険は去っても、冬は感染症の流行期なので気が抜けません。

感染症は時として日常生活に大きな影響を与えます。COVID-19(新型コロナウイルス)の流行により社会の在り方が変わったこともまだまだ記憶に新しいでしょう。この記事では、最新の感染症のトレンド、対策などについて詳しく解説します。

感染症とは

感染症とは、病原体(=病気を起こす微生物や物質)が体に侵入して、様々な症状が出る病気のことをいい、病原体は大きさや構造によって細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などに分類されます。

病原体が体に侵入しても、症状が現れる場合と現れない場合があったり、病原体の感染力と体の抵抗力とのバランスで症状の有無や大きさが変わったりします。

空気感染対策

病原体が体の中に侵入する感染経路には、大きく分けて垂直感染と水平感染の2種類があります。

垂直感染とは、妊娠中あるいは出産の際に病原体が赤ちゃんに感染することをいい、一般的に“母子感染”といわれています。 風疹やトキソプラズマ、B型肝炎などが垂直感染を起こします。

水平感染とは、人や物などの感染源から周囲に広がるものです。感染の伝播方法によって、接触感染、飛沫感染、空気感染、媒介物感染の4つに分類されます。

接触感染の特徴としては、感染者に直接接触して感染することが挙げられ、代表的なものとして、伝染性膿痂疹(とびひ)、梅毒、淋病、破傷風などがあります。

飛沫感染の特徴としては、咳やくしゃみで飛び散った飛沫を吸い込むことにより感染することが挙げられ、代表的なものとして、インフルエンザ、かぜ、百日咳、マイコプラズマなどがあります。

空気感染の特徴としては、空気中を漂う微細な粒子を吸い込むことにより感染することが挙げられ、代表的なものとして、結核、麻疹(はしか)、水痘(みずぼうそう)などがあります。

媒介物感染の特徴としては、汚染された水、食品、血液、昆虫などを介して感染することが挙げられ、代表的なものとして、コレラ( 水 )、食中毒(食品)、ウイルス性肝炎(血液)、マラリア(蚊)などがあります。

最新の感染症とその対策

さて、実際に今流行っている感染症はどんなものがあるでしょうか。いち早く流行りの感染症を把握しておくことでより良い予防・対策に繋げましょう。

下記サイトでは神奈川県の週ごとの感染症の発生状況を確認することができます。

神奈川県衛生研究所 2024年(令和6年)週報及び当該週に流行した感染症の発生状況

https://www.pref.kanagawa.jp/sys/eiken/003_center/0301_infection/030102_week/030102_r06.htm

COVID-19(新型コロナウイルス)

非常に感染力が強く、感染すると発熱、咳、頭痛などの風邪に似た症状が現れます。まれに重篤化したり、後遺症が残ったりすることがあります。

以前と比べ脅威は落ち着いたように感じますが、高齢者や基礎疾患がある方はまだまだ気は抜けません。

今まで通り、アルコール消毒、手洗い、うがい、マスク着用などの対策は続けていきましょう。感染症の三大原則は、病原体を「持ち込まない」「持ち出さない」「拡げない」です。

インフルエンザ

風邪に似た症状が出ますが、風邪よりも感染力が強く、38℃以上の高熱や、関節の痛みが出るのが特徴的です。また、子供の場合は急に走り出す、部屋から飛び出そうとするなどの異常行動が見られることもあるので注意してください。

毎年12月~4月が流行シーズンですが、夏の時期でも流行することがあります。

冬に流行しやすい理由は、空気が乾燥しているためウイルスがふわふわと浮遊しやすく、人の鼻や口に近い高さでウイルスが長い時間漂うことになり、呼吸などを通じて鼻や口の粘膜から侵入しやすいからです。

また、気温が低いと人間の鼻やのどの粘膜は働きが弱くなるため、ウイルスに抵抗する力が弱くなります。また、日照時間が短くなると、免疫機能を調整してくれるビタミンDが生成されにくくなることも要因と考えられています。

新型コロナウイルスの流行に伴い、感染予防の徹底でインフルエンザの流行は一時低調になりましたが、それはすなわちインフルエンザの抗体を持っている人が少ないということであり、例年よりもインフルエンザが流行すると予測されています。

もし感染してしまった場合は、周りの人に感染を広げないよう、手指消毒をこまめにし、マスクをして、なるべく外出を避けましょう。安静にして十分な睡眠をとることを心掛け、水分補給も忘れずに行いましょう。インフルエンザが疑われる時に市販薬を飲む際には、必ずアセトアミノフェンを主成分としている商品を選んでください。アセトアミノフェンは解熱効果のほか、頭痛や関節痛を和らげる鎮痛効果も持っています。広く知られている解熱鎮痛剤は他に、アスピリンやイブプロフェン、ロキソプロフェンなどがありますが、これらをインフルエンザの人が服用すると、ライ症候群やインフルエンザ脳症といった合併症のリスクが高まる恐れがあります。大人ももちろん注意が必要ですが、子供の場合は特にリスクが高まるためより注意が必要です。

感染対策の手洗い

感染対策としては、手洗い、うがい、手指消毒です。

室温を20~25℃に保つとともに、部屋が乾燥しないように湿度50~60%を目安に加湿するとウイルスの生存力や感染力は弱まります。

加湿器がない場合には、洗濯物を部屋干ししたり湿らせたタオルを干したりしても簡単に加湿ができます。

また、インフルエンザワクチンは12月中旬までには受けるようにしましょう。ワクチンは接種後2週間程経つと効果が表れ始めるため、インフルエンザのピークシーズンの感染リスクを減らすことができます。ワクチンの効果は5か月くらい続きます。

溶連菌感染症(溶血連鎖球菌咽頭炎)

溶連菌とは、正式名称をA群β溶血連鎖球菌といいます。この溶連菌が喉などに感染して炎症を起こしている状態のことを溶連菌感染症と言います。子供に多く発症し、主な症状としては、38~39℃の発熱、喉の痛み、体や手足の発疹、イチゴ舌(舌にイチゴのようなツブツブができる)などです。潜伏期間があり、感染後2~5日で症状が出ます。ワクチンはなく、手洗いうがいなどの基本的な対策が必要になってきます。

感染してしまった場合には、喉に刺激を与える、熱い辛いすっぱいといったものは避けてください。抗菌薬を用いて治していくことになりますが、症状が治まったからといって自己判断で抗菌薬を飲むのをやめてはいけません。症状が出なくなっても、体の中に菌は残っている可能性があります。リウマチ熱や急性糸球体腎炎などの続発症(合併症)につながることもあるため、処方された抗菌剤は飲み切ることが大切です。

また、症状が似ている病気で、ヘルパンギーナや手足口病があります。どちらも原因となるのはウイルスで、コクサッキーウイルス、エンテロウイルスなどです。ヘルパンギーナは主に口の中に水疱ができ、38~40℃の高熱になることが多いです。手足口病はその名の通り口の中以外の手足にも水疱ができますが、ほとんどが38℃以下の微熱です。どちらもウイルスが原因なので抗菌薬は効きません。安静にし、水分をこまめに補給し、自然治癒を待ちます。

はやり目(流行性角結膜炎)

感染すると、5日~2週間の潜伏期間の後、「さらさらした目やにが出る」、「涙が出る」、「まぶしい」などの症状が現れ、瞼(まぶた)が腫れ、酷い場合には目が開かなくなります。

アデノウイルスの感染によって起こる結膜炎で、感染力が非常に強く、はやり目の人が目を触った手でモノを触り、他の人がそれに触って目をこするなどすると、高い確率で感染します。特効薬はなく、炎症をおさえたり、細菌の混合感染を予防したりするための点眼薬を2~3週間使用し、感染したウイルスに対する免疫ができて、自然に治るのを待ちます。

はやり目の感染を避けるには、まずは手洗い、手指消毒をきちんと行いましょう。

はやり目の感染対策

家族にはやり目にかかっている人がいる場合は、他の人への感染を防ぐため、手で目をこすらない、タオルの共用を避ける、お風呂などは最後に入ってもらうなどしてください。

RSウイルス

RSウイルス感染症は、RSウイルスに感染することによって引き起こされる呼吸器の疾患で、潜伏期間は2~8(多くの場合4~6)日間とされ、「発熱」「鼻汁」「咳」など軽い風邪のような症状が出ます。通常は数日から1週間くらいかけて徐々に良くなりますが、重症化すると気管支炎や肺炎の兆候が見られ、中には呼吸困難を起こして入院することもあるので注意が必要です。重症化しやすいのは、生後6か月未満の赤ちゃん、早産・低出生体重の赤ちゃん、先天性心疾患、慢性肺疾患、ダウン症、免疫不全症などの方です。

RSウイルスは「接触感染」と「飛沫感染」で感染が広がっていくので、手洗い、うがい、子どもたちが使用するおもちゃや触れた場所などの消毒が効果的です。

また、近年ワクチン開発に国が力を入れている感染症の一つでもあります。現在2種類の任意接種ワクチンが国内では承認されているため、費用は掛かりますが、心配な方は接種をおすすめします。

まとめ

感染症は本当に恐ろしいものです。しかし対処方法を知っていれば、手洗い、うがい、アルコール消毒など、簡単なことである程度は予防できます。もし感染した場合や感染が疑われる場合には、かかりつけ医に相談して指示を仰ぎましょう。

また、薬は正しく使わないと治らないどころか症状を悪化させてしまうこともあります。不安なこと、困ったことがありましたらいつでもかかりつけ薬局までご相談ください。

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監修漆畑俊哉(薬剤師)

漆畑俊哉(薬剤師)
  • 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
  • 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
  • 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
  • 在宅療養支援認定薬剤師

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