夏に増える虫刺されとその対策方法

夏になると、アウトドアや公園遊びの機会が増え、子どもも大人も虫に刺されやすくなりますよね。
蚊やブヨ、ダニなど、さまざまな虫に刺されることで、かゆみや赤み、腫れなどの症状が出ることがあります。なかには、発熱や感染症を引き起こすケースもあるため、正しい知識と対策が大切です。
今回は、虫刺されの原因や症状、虫の種類別の特徴、そして初期対応や予防法について、わかりやすくご紹介します。
目次
虫刺されの主な原因と症状
虫刺されは、虫に刺されたり噛まれたり、または虫の出す毒や分泌物が肌に触れることで、赤みやかゆみなどの炎症が起こる状態です。
多くの場合は、少しかゆいな、赤くなったな…という軽い症状で済みますが、虫の種類やその人の体質によっては、水ぶくれができたり、強い痛みや発熱、リンパの腫れなど、重い症状が出てしまうこともあります。
とくに小さなお子さんは皮膚が薄くてデリケートなため、大人よりもかゆみを強く感じやすく、症状がひどく出やすい傾向があります。

かゆくてつい掻いてしまい、その傷口からばい菌が入って「とびひ」になることもあるので、できるだけ早めにケアしてあげることが大切です。
よくある原因の虫
蚊、ブヨ(ブユ)、アブ、ダニ、ノミ、毛虫 など
症状の程度別の目安
- 軽度
- かゆみや赤みのみ
- 中等度
- 腫れ、水ぶくれ、かさぶた
- 重度
- 発熱、リンパの腫れ、アレルギー反応
虫の種類別による特徴と症状の違い
それぞれの虫によって、刺されたときの症状や対処法は異なります。代表的な虫を以下にまとめました。
蚊
刺された直後にかゆみと赤みが出ます。自然に治ることも多いですが、掻いてしまうととびひになることも。
ブヨ(ブユ)
数時間後から強いかゆみと腫れが出てきます。腫れが広がるのが特徴です。
アブ
刺された瞬間にチクリと痛みがあり、数日間腫れやかゆみが続きます。出血や化膿することも。
毛虫・チャドクガ
毒針毛が刺さると激しいかゆみや湿疹が出ます。発熱を伴うこともあり、皮膚科の受診が必要です。
ダニ
チリダニは赤い発疹がまとまって出るのが特徴。マダニは皮膚にくっついたままなので、無理に取らず医療機関へ。
ノミ
足元に小さな赤い発疹が出て、かゆみが長引くのが特徴。掻くと化膿やアレルギーの原因になることも。
虫刺されの初期対応と市販薬の選び方
刺された直後の基本ケア
- 流水で優しく洗う
- 汚れや虫の成分を洗い流しましょう。
- 冷やす
- 保冷剤や冷たいタオルで炎症を抑えるのに効果的です。
- 薬を塗る
- 症状に合った市販薬を選びましょう。
- 掻きむしり防止
- 絆創膏やガーゼで保護し、二次感染を防ぎます。
症状に応じた成分と薬の選び方
- 抗ヒスタミン成分
- かゆみや赤みを和らげる。
- ステロイド成分
- 炎症や腫れが強いときに使用。
- 殺菌成分・抗生物質
- 掻き壊した際の感染予防に。
- 局所麻酔成分
- 痛みやかゆみの即効緩和に。
- 清涼成分(メントールなど)
- ひんやり感でかゆみを軽減。
市販薬の一例
ムヒベビー(池田模範堂)
生後1か月から使える、赤ちゃん用のかゆみ止めです。ステロイドが入っておらず、敏感なお肌にも安心。あせもや湿疹にも使える、やさしい処方です。
ポリベビー(第一三共ヘルスケア)
赤ちゃんから使える外用薬です。弱めのステロイドや抗生物質が入っていて、かゆみや炎症、雑菌の対策にぴったり。虫刺されだけでなく、オムツかぶれにも。
液体ムヒS2a(池田模範堂)
スーッとした清涼感が特徴の液体タイプ。小学生くらいから大人まで使え、かゆみをすばやく抑えます。外出時にも便利です。
キンカン(金冠堂)
昔から親しまれているかゆみ止め。スーッとした使用感で即効性がありますが、刺激が強いので大人向けです。
フルコートf(田辺三菱製薬)
炎症やかゆみが強いときに使う、ステロイド入りの薬です。よく効きますが、顔や長期間の使用は避けましょう。
症状が重いときの見極め方と対処法
以下のような症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
- 発熱がある
- 刺された部分が広く腫れて熱をもっている
- 呼吸が苦しい、全身にじんましんが出ている
- 関節が痛む・動かしにくい

虫刺されを防ぐための予防策
外出時の工夫

- 虫よけスプレーやシールの活用(イカリジン・ディートなど)
- 長袖・長ズボンで肌の露出を減らす
- 黒や紺などの濃い色は虫を引き寄せやすいため、なるべく避ける
室内での対策

- 網戸のチェックと修理
- 蚊取り線香や虫除け器具の活用
- 扇風機を回す(蚊は風に弱い)
小さなお子さんの虫刺され対策のポイント
子どもはかゆみを我慢できずに掻いてしまいやすく、悪化しやすい傾向があります。予防とアフターケアの両方が大切です。
予防の工夫
- 子ども用の虫よけ(イカリジン配合など)を使用
- ベビーカーや寝具には蚊帳やネットを設置
- 外出時は肌の露出を避ける服装を心がける
天使のスキンベープミスト(フマキラー)
赤ちゃんから大人まで使えるやさしい虫よけミストです。有効成分イカリジンを15%配合し、蚊やブユ、アブ、マダニなどの虫よけ効果が最大8時間持続します。
刺されたあとのケア
- すぐに洗って冷やす
- 低刺激のかゆみ止めを塗る
- 掻かないように保護する
- 化膿や悪化があれば早めに医療機関へ
まとめ
今回は、夏に多く見られる虫刺されについて、原因や症状、そしてその対策や予防の方法までご紹介しました。
虫刺されはちょっとしたことに思えるかもしれませんが、きちんと対処しないと、かゆみが長引いたり、悪化してしまうこともあります。正しい知識を知っておくだけで、夏のお出かけや毎日の生活も、より安心して過ごせます。
「どんなお薬を使えばいいの?」「うちの子の症状には何が合うんだろう?」など、迷うことがあれば、どうぞお気軽に薬局でご相談ください。
監修漆畑俊哉(薬剤師)

- 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
- 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
- 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
- 在宅療養支援認定薬剤師