セミナー

2022.9.10

バイタルサイン講習会参加報告

バイタルサイン講習会参加報告

2022年7月31日小田原市おだわら市民交流センターUMECOにて行われた、日本在宅薬学会バイタルサイン講習会へ参加した。講習内容を報告する。

講習1 なぜ薬剤師がバイタルサインを学ぶのか

「患者を良くする」ために、患者に関わってくる人と連携を取りその中で薬剤師が持っている専門性を生かしていくことが求められている。

そこには共通言語としてバイタルサインがあり、バイタルサインにより患者の状態を把握し薬学的な評価を行い、それがフィードバックされる、この流れを、服用期間を通してフォローアップすることで患者がより良い医療を受ける一つの材料となることから薬剤師もバイタルサインを知ることが必要となる。

講習2 薬剤師が学ぶべきバイタルサインの理論的背景

代表的なバイタルサインに血圧・呼吸・脈拍・体温・意識・尿量がある。血圧を測る、脈拍を取る等は医療行為ではなく、測定したバイタルサインは目の前の患者さんの状態を把握する数値である。

代表的なバイタルサインの各論とその測定法について講義を受けた。

実習 バイタルサイン採取の実際

始めに講師による各バイタルサインの取り方を見た後に、隣の方とペアになりバイタルサインを取った。

脈拍

上腕動脈、橈骨動脈から脈拍測定を行った。脈拍は橈骨動脈より15秒数えた後カウントを4倍にして脈拍とした。

血圧

上腕にまいたマンシェットで圧をかけ橈骨動脈の脈を取りながら収縮期血圧値の目安を調べた。

その後聴診器を使ってコロトコフ音を聞きながら収縮期、拡張期の血圧を測定した。先に橈骨動脈で大まかな収縮期血圧を知るのは加圧の目安を決めるためでもある。

聴診器でコロトコフ音を聞き取ることが慣れず、血圧の値を判断することが難しかったが加圧やカフのねじの操作が分かるようになると落ち着いてコロトコフ音を聴けるようになった。

普段の血圧の値を聞き血圧の目安を頭に入れながら測定すると焦りを減らすことができると感じた。

心音

心拍数をカウントし脈に不整がないかチェックした。

橈骨動脈を触りながら、聴診器を使って4カ所の心音を確認した。

呼吸音

深呼吸をしてもらいながら、胸面、背面ともそれぞれ4カ所で聴診した。

酸素化の指標は機械を用いて指先で測定するSpO2とした。

腹部の聴診とチェック

腹部4カ所を聴診した。また問診で便通異常がないかや腹部の張りについて聞き取りをした。

最後に、挨拶から始める一連のバイタル測定を行った。

講義3 バイタルサインの本当の意義

バイタルサインを取ったことがある、だけでは意味がなく、医薬安全の確保と医薬品の適正使用のためにバイタルサインと共に薬剤師の専門性を持ってフォローしていくことが期待される。

医師と薬剤師では患者へのフォローの仕方が異なり、薬剤師は薬理、製剤、薬物動態といった薬が体で働く面からフォローを行うことができる。

そのためにバイタルサインを知り、薬を飲んだ後までフォローすることで薬物治療の向上を、患者を良くすることを目指すことができる。

講習会に参加しての所感

本講習会に参加する前に日本在宅薬学会へ参加し、他地域で在宅医療をしている医師の話、薬剤師に求められること、また薬剤師が行っていることを学んだ。

そこではより患者に近い形で薬剤師がチームの一員として活躍していることを知った。現在私が仕事として行っている患者との関わりは、主に言うと継続して薬をお届けし、せめて様子をみること、ご家族と話をするくらいである。

今回の講習に参加しバイタルサインを知ることができ、期待される在宅医療へ小さいが一歩踏み出すことができたのかなと感じている。それは今後の自己研鑽も含めて、患者のためにどうやって医師看護師と関わったら良いのかと考えるきっかけにもなった。

そして講義の最後、薬剤師が他者(患者、医師、看護師など)からの承認を欲しているとの言葉にとても共感した。この承認が自信となり薬剤師の仕事を向上させていくことに繋がると感じた。

皆さまの「やってみたい」を積極支援

執筆者内田紋子(薬剤師)

平成14年 昭和薬科大学卒業

薬剤師としては東京の調剤薬局に勤務。現在は小田原へ移住し健やか薬局に勤務中。

薬局メンバーとしては最年長ではあるものの薬局スタッフに大きな力添えをもらいながら働く毎日。在宅チームの一員としてたくさんの悩みを抱えつつ、患者さんとご家族のお力になれるよう日々奮闘中。

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