アルコールと体の影響!適度の飲酒
最近は、新型コロナウイルスの影響により、首都圏や都市部では飲食店の時短営業、イベント・集会の自粛が求められ、アルコールを飲む機会が減少しています。またソバーキュリアスという考え方、若者の酒離れなどもよく耳にします。
本日は、アルコールを飲むことで体にどのような影響をもたらしているのか、また断酒の効果とアルコールと上手に付き合うための方法を解説します。
アルコールの吸収と分解
アルコールは他の食品と異なり、消化を受けることなく吸収されます。
通常では、飲んだ量の20%程度は胃から、残りは小腸上部から吸収され、胃からの吸収に比べて、腸からの吸収は速いことが知られています。
また全般的に吸収は早く、消化管内のアルコールは飲酒後1~2時間でほぼ吸収されてしまうといわれています。
空腹時の飲酒
空腹時に飲酒をすると、アルコールが胃を素通りして小腸に流れ込むので、アルコールの吸収が速くなり、空腹時に濃い酒を飲むと、アルコールの吸収が加速されて、血中濃度の上昇がさらに速くなるといわれています。
これに対して、食事やおつまみと一緒にゆっくり飲酒すると、アルコールが胃に留まる時間が延びます。
そのため吸収が遅くなり、血中濃度も低く抑えられますので、飲酒時は、このような飲み方が推奨されます。
アルコールを飲むときは、食事やおつまみと一緒に!
飲酒と肥満
アルコールは体にとって有害なものなので、肝臓で無毒化され、尿素という物質に変換されます。
肝臓では、低血糖にならないために、常に食事で貯金した栄養を分解し、機能調節をしています。
しかし、体に有害なアルコールが入ってくると、解毒を優先するため、血糖の調節はストップし低血糖に陥ってしまう危険があります。
また、1gのアルコールを代謝すると7kcalのエネルギーが産生されます。そのため多量の飲酒は肥満の原因になります。
おつまみの食べ過ぎも肥満の原因になるので、注意してくださいね。
適正なアルコール量
厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21(第二次)」によると、節度ある適正な飲酒量は1日あたり純アルコール20gとされています。
しかし、アルコールの分解速度には性差があるとされており女性は1/2~2/3程度が望ましいと考えられています。
純アルコール20gに相当する酒量(参考)
二日酔い対策
楽しい夜に飲みすぎてしまった翌日は辛い二日酔いが待っています。症状を緩和するために、二日酔い対策の薬を紹介いたします。
お酒を飲んだら水もたくさん飲むことを忘れないでくださいね。
胃腸薬「ガスター10」
太田胃散
第一三共胃腸薬〔錠剤〕
ソバーキュリアスって?
ソバーキュリアス(sober curious)とは、お酒が飲めてもあえて飲まない人や、少量しか飲まない人のことを指し、「sober」は「シラフ」、「curious」は「好奇心の強い、〜したがる」を意味します。
つまり「シラフへの好奇心」「シラフでいたがる」というニュアンスが語源となっています。
欧米では、アルコールを飲まないことは心身の健康につながると考えられ、「あえて飲まない」がトレンドになりました。
後に、若者のお酒離れが世界的に広がり、「ソバーキュリアス」という言葉が誕生しました。
「シラフがクール」といった風潮もあり、アルコールを扱わない「Sober Bar(ソバーバー)」と呼ばれるバーも各地に登場しています。
日本ではこの言葉はまだ浸透していないものの、若者のお酒離れは確実に進んでいます。
まとめ
アルコールにはストレスの解消、人間関係の円滑化、食欲アップ、動脈硬化の予防など、カラダだけでなく精神的にも様々な「効能」がありますが、お酒の飲み過ぎは二日酔いに悩まされたり、さらには体調を崩してしまう場合もあります。
また、節酒や禁酒によってお酒にかけていたお金や時間を趣味や家族の時間に使うことができます。
適度の飲酒で上手にアルコールと付き合いましょう。
監修土橋弘靖(薬剤師)
- 研修認定薬剤師
- 認定実務実習指導薬剤師
- 認定がん医療ネットワークナビゲーター
- スポーツファーマシスト
- 日本在宅薬学会バイタルサインエヴァンジェリスト
- 腎臓病薬物療法単位履修修了薬剤師
- 心電図検定3級