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2023.1.19

子どもの花粉症対策

子どもの花粉症対策

日本人の2人に1人が悩んでいるといわれる花粉症。

最近では大人だけでなく、子どもの花粉症も増えてきていますが、子どもの花粉症は、大人と違って症状が少しわかりにくいことが多いようです。

そこで本記事では、子どもの花粉症の特徴と対策を解説します。早いうちから花粉症対策をはじめてみましょう。

子どもの花粉症の特徴

子どもの花粉症は増えている

花粉症のある日本人は、1988年には19.6%でしたが、2008年には29.8%、2019年には42.5%と年々増加傾向です。

その中でも、5〜9歳の子どもで約30%、10代の子どもで約50%と、子どもの花粉症有病率が非常に高くなってきているとわかっています。

症状がわかりにくいことも

花粉症の症状といえば「鼻水、くしゃみ」を想像するかもしれませんが、子どもの花粉症は症状がわかりにくいことも少なくありません。

自分で症状をきちんと訴えることができないくらいの年齢でも、花粉症を発症することがあるためです。そこで、お子さんに以下のような症状がないかどうか、注意してみてあげましょう。

  • 鼻をすすっていることが多い
  • 目をよく触っている
  • なんとなく元気がない
  • いびきをかく
  • 寝る時間が長くなった

子どもでも大切な花粉症対策は?

近年は、飛んでいる花粉の量が増えたことやアレルギー素因を持つ人が多くなったことなどが原因で、小さいうちから花粉症発症のリスクが高まっています。

花粉症を発症する前や症状がひどくなる前から花粉症の対策をとりましょう。

マスクやメガネで花粉をガード

目や鼻の粘膜は花粉が体内に入るための入り口です。

粘膜から花粉が侵入すると、花粉を攻撃するために「抗体」というものが体内で作られ、長い時間をかけて体内に抗体が蓄積し、ある一定以上になると「花粉症」の発症にいたるのです。

マスクを着用することで、吸い込む花粉の量を3分の1以上も減らすことができますので、不織布マスクを使うか、インナーマスクを併用するといいですね。

子供の花粉対策マスク

また、目をガードすることは、アレルギー性結膜炎の予防につながります。

通常のメガネでも、目に入る花粉の量を40%も減らす効果があり、メガネのレンズ周辺にカバーがついている花粉対策専用のメガネであれば、65%も花粉の量を減らすことができます。子ども用の花粉対策メガネも売られていますので、試してみてはいかがでしょうか。

なかいまち薬局・ぴょんすけ

花粉が飛びやすい時期は、マスクやメガネで花粉をガードしましょう。

洋服はこまめに洗う

花粉対策ウール

洋服は、ちょっとしか着せていないとしても、外に出たら毎回洗うのがおすすめです。

洗濯のできない上着の場合は、ブラシを使って表面の花粉を払い落としてから部屋に入るなど、ひと手間かけることで室内に持ち込まれる花粉の量を減らせます。

また、ウールはコットンや化学繊維の約5〜10倍も花粉が付着しやすい素材です。花粉症の症状がひどい場合は、ウール素材の洋服を避けましょう。

手洗いうがい・洗顔

手やのどに付着した花粉をしっかり洗い流すことで、体内に花粉が侵入するリスクを減らすことができるので、手洗いうがいは感染予防のほか花粉症の予防にも繋がります。

また、洗顔も花粉症の症状悪化予防に効果があります。目や鼻の周囲についた花粉をしっかり除去しましょう。

換気にも工夫を

昨今は、新型コロナウイルス感染症の影響もあって換気をおこなっている方も多いですが、花粉症のある方がご家庭にいる場合は、換気のやり方にも工夫が必要です。

窓は全開にせず、10㎝くらいだけ開けるようにしましょう。そして、必ずレースカーテンをしてください。そうすることで、窓を全開にして換気したときと比較して、家の中に侵入する花粉の量を約4分の1に減らすことができますよ。

なかいまち薬局・ぴょんすけ

レースカーテンには花粉がたくさん付着しますので、こまめに洗濯するとより効果的です。

子どもに使える市販薬

市販薬の中には、子どもの花粉症に使用できるものがいくつかあります。薬によって対象年齢に違いがありますので、お子さんの年齢に合ったものを選びましょう。

アレグラFXジュニア

7〜14歳用の「アレグラ」です。花粉症治療薬として非常に幅広く使われています。

主成分は「フェキソフェナジン」で、アレルギー症状を起こす原因「ヒスタミン」が働かないようブロックする、抗ヒスタミン薬と呼ばれる成分です。

7〜11歳は朝夕食後に1回1錠ずつ、12〜14歳は朝夕食後に1回2錠ずつ内服してください。15歳以上の子どもは、大人用の「アレグラFX」を使用しましょう。

眠くなりにくいこと、1日2回の服用でよいことから、学校があっても使いやすい薬です。

レスタミンコーワ糖衣錠

5歳以上の子どもから高齢者まで使用できる薬で、鼻炎のほかかゆみ、かぶれ、湿疹、蕁麻疹にも効果があります。

主成分は「ジフェンヒドラミン」です。眠気が出やすいため、学校がある日や自転車の運転をする日などには向きません。糖衣錠といって無味無臭の小さな錠剤で、子どもでも飲みやすいように作られています。

小青竜湯

水のようにサラサラとした鼻水や痰には、「小青竜湯」という漢方薬も効果的です。子どもには1回1包では多すぎるため、年齢によって量を減らす必要があります。用法用量をよく確認しましょう。

飲み合わせが悪い場合がありますので、ほかの鼻炎薬や総合感冒薬とは組み合わせないようにしてください。

エージーノーズアレルカットM

7歳以上の子どもに使える鼻スプレーのタイプです。鼻づまりによく効きます。

ただし含まれているナファゾリンという成分は、長期間使用することで「薬剤誘発性鼻炎」を引き起こすリスクがありますので、どうしても鼻づまりを解消したいというときに単発で使用するような使い方が望ましいでしょう。

受診の目安

花粉症は毎年のことですから、症状があって花粉症が疑わしい場合には受診が望ましいです。

以下のような場合は、耳鼻科やアレルギー科を受診してみましょう。

鼻水やくしゃみなどの症状が2週間以上続くとき
症状によって生活に支障があるとき
市販薬を数日使ってもよくならないとき
毎年同じ季節に症状が出る人
アトピー性皮膚炎や喘息などほかのアレルギー疾患もある人
子供の花粉症受診目安

アトピーや喘息など、ほかのアレルギー疾患がある子どもは、「アレルギーマーチ」といって、アレルギー疾患を起こしやすい状態です。

そのため、花粉症を起こす可能性も高いといえます。もし鼻水や鼻づまりなど花粉症のような症状があれば、かかりつけの医師に相談してみましょう。

舌下免疫療法

スギ花粉症の場合には、「舌下免疫療法」をおこなうこともできます。この治療法は、現在のところ唯一の花粉症を「治す」治療です。

アレルゲンが含まれた治療薬を、ほんの少量ずつ投与していき、体を慣れさせていくようなイメージの治療方法で、専門の医療機関でおこなうことができます。

比較的簡単で、自宅で続けられる治療法なので、症状がひどい方はかかりつけの医師に相談してみるとよいでしょう。5歳以上の子ども・大人が対象です。

まとめ

子どもでも花粉症を発症することがあります。

花粉を浴びる量を極力減らすことは、発症予防にも症状悪化予防にも大切です。今回ご紹介した対策を取り入れてみてはいかがでしょうか。

また子どもの花粉症にも使える市販薬はいくつかあります。がまんせず、症状の緩和のために使用してみましょう。

そして症状が長引く、症状の重い場合には、市販薬を使い続けずに耳鼻科等を受診してください。

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監修漆畑俊哉(薬剤師)

漆畑俊哉(薬剤師)
  • 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
  • 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
  • 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
  • 在宅療養支援認定薬剤師

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