飲めない錠剤や粉薬を子どもに飲んでもらう方法
子どもに、お薬を飲ませるのが、一苦労とおっしゃる方が多いですね。でも、お薬を無理に飲ませてしまうと、せっかくのお薬を吐き出してしまいかねません。
そこで、本記事では、子どもが、お薬を安全に飲めるよう、子どもにお薬を飲ませる方法について、アドバイスをさせていただきます。
目次
薬を嫌がるのはうちの子だけ?「薬育」を始めるチャンスです!
子どもの約8割は、お薬が大嫌いです。よって、どこの保護者もお薬を飲ませるのに苦労しています。
大人もお薬が嫌いな人はたくさんいますので・・・
無理やりお薬を飲ませ、むせて苦しそうに泣いている姿を見ると本当に辛いですよね。ここは、発想を切り替えて、子どもがお薬に触れて、学ぶ機会と捉えてみませんか?
子どものうちから薬の効果や副作用、正しい使い方などを学ぶという「薬育」という言葉があります。子どもに薬の教育をすることは海外では当たり前に行われていますが、日本はちょっと遅れています。
子どもの頃から、お薬について学ぶと、自分自身の健康に責任を持ち、風邪などのちょっとした不調は自分で手当てできるようになりますし、お薬による副作用の症状に早く気付けたり、薬の誤った使用による危険性を理解したりすることができます。ぜひ、お子さんと一緒に、正しいお薬の使い方を考えてみましょう!
パパ、ママがまずはリラックス!怖い顔をしないで
乳児の段階から子どもは、他者の顔や視線を知覚し、さまざまな情報を読み取る能力を持っているとされています。
お薬を子どもに用いる際、無表情や怒った顔ですと、子どもが不安や恐怖を感じて泣き出してしまい、お薬を飲んでくれない原因の一つになることもあります。
まずはパパ、ママがリラックスしてくださいね。
お薬の使用は、必ず医師や薬剤師の指示通りに
お薬を用いる際には、医師や薬剤師の指示通りに飲ませてください。飲む量や、飲むべき時間、回数、食事の前なのか、後なのか、対象年齢などを確認しましょう。
子どもが嫌がるからと言って半分の量にする、勝手に中止するなどすると、症状が悪化することもありますし、副作用が出る原因になることもあります。
また、きょうだいのお薬を取り違えて飲ませてしまったり、おとなのお薬を子どもに用いるのは絶対にやめてくださいね。必ず、お薬の説明書を確認しましょう。
子どもにお薬の説明を!どうして飲む必要があるのかを納得させる
4~5歳くらいになると、子どもにお薬を使う理由を丁寧に説明すると、納得して飲んでもらえるようになります。場合によっては、もっと小さなお子さんでもおさなごころに理解しようとする健気な子もいます。
納得してくれたら、口を開けてくれたり、お薬を飲むことに協力してくれます。
例えば、「このお薬を飲んだら、痛いのが治るよ。」と説明し、実際に症状が治まれば、子どもながらにお薬の効果を実感してくれます。
その後、「お薬を飲んだからよくなったね。えらかったね。」と褒めてあげると、成功体験がインプットされ、薬嫌いを卒業するきっかけになります。
お薬は病気を治すために飲むもの
「お薬を飲まないとおもちゃを買ってあげないわよ。」とか、「遊びに連れて行ってあげないから。」などと、ネガティブなことは言わず、お薬は、本来美味しいものではないことを教え、それでも元気になるためには、お薬を飲む必要があることを伝えましょう。
「お薬をしっかり飲んで治ったら、一緒におもちゃで遊ぼうね。」とか、「お薬を飲んでよくなったら、みんなで遊びに行こうね。」など、ポジティブな言葉で、自分からお薬を飲んでもらえるような手助けをしましょう。
お薬服用後の体調をチェック!
お薬を飲んだ後のお子さんの体調変化を観察しましょう。
症状は良くなっていますか?お薬を飲んでから、何かいつもと違う副作用が疑われるような症状はでていませんか?気になることは、お薬手帳などに「時刻」や「症状」などを記録しておきましょう。
お薬を飲んでくれない!お薬の種類別の飲ませ方
子どもにも個性があり、嗜好もそれぞれ違います。次にお伝えするのは、子どもに薬を飲ませる際の一般的な飲ませ方です。
粉薬
粉薬は、水かぬるま湯を少量加えて溶かし、団子状に練り、頬の内側になすりつけ、その後、水を飲ませるという方法や、少量の水に溶かしたものを、乳児であれば哺乳瓶の乳首で吸わせたり、小児であればスプーンで飲ませる方法があります。
幼稚園から小学生くらいであれば、あとで紹介するお薬ゼリーなどで飲めるかもしれません。
しかし、お薬の中には、苦味を甘味成分でコーティングしてある場合もあり、すみやかに飲まないと、苦み成分が出てくる場合があるので、飲む直前に水に溶かしましょう。
錠剤
錠剤が飲めるようになる年齢は個人差があり、一般的には幼稚園の年長から小学生くらいで飲めるようになります。
錠剤や、特にカプセル剤は、口やのどにくっつきやすいため、薬を飲む前に水で口を湿らせてから錠剤を舌の奥に置き、すぐに水を飲ませます。
慣れない場合は、のどに詰まらせないように気を付けましょう。
なお、錠剤によっては、ゆっくり溶けるように工夫されているようなお薬もあり、錠剤のまま噛まずに服用する必要がありますので、錠剤を細かく砕いたり、カプセル剤を開封して飲ますのは、おすすめできません。
もし、細かくして飲ませたい場合は、口の中で溶けるチュアブル錠などもあるので、薬剤師に相談してください。
シロップ
計量する必要がある場合は、メモリをしっかりみて、正確にはかります。甘い味付けがしてあるお薬がほとんどですが、甘すぎて飲めない場合もあります。特に、乳児ではかえって嫌がる場合もあります。
正確にはかりとってから、少量の水でうすめてもよいでしょう。
お薬を食品に混ぜるときに注意すること
好きな食品に混ぜるのは控えよう
子どもの目の前で好きな食べ物にお薬を混ぜたり、普段飲んでいるミルク等に混ぜることはオススメしません。
お薬が嫌いになるだけでなく、好きだった食べ物を嫌いになり、成長に必要なミルクも飲みたがらなくなってしまうケースがあります。
できるだけ、こまめに水等で飲み込ませるなど工夫しましょう。
酸性・アルカリ性の強い食品に気をつけよう!
炭酸飲料やスポーツドリンク、果汁の多いジュースなどの酸性の強い飲料と混ぜて飲むと、お薬の吸収や効果に影響を与えてしまうことがあります。
お薬は基本的に、水で飲むことを想定して作られていますので、お薬によっては飲食物と混ぜると逆に苦味が増して飲みにくくなったり、お薬の効果が弱くなったりするものもあります。また、食品と混ぜることによって、化学反応を起こしてしまうことも考えられます。
すべての食品との飲み合わせが研究されているわけではないので、水で、お薬を飲めない場合は、薬剤師へご相談くださいね。
熱い食品にお薬を混ぜない
食品の熱でお薬の成分が壊れてしまうおそれがあります。
熱い食品自体で、お子さんがやけどするおそれもあります。ぬるま湯にお薬を溶かす場合も、体温以下の温度にしてください。
1 歳未満にはちみつは NG!
お薬は、はちみつに混ぜない
はちみつは、生後1歳未満の乳児には与えてはいけません。乳児ボツリヌス症を発症することがあります。
更に、こんなことにも注意しましょう
無理やり飲まさない
無理やり飲ませようとすると、気管に入ってしまうことも。そんな時はいったん中断し、様子を見ましょう。
また、機嫌よく寝ている時に、無理に起こしてお薬を飲ませるのもやめておきましょう。
飲み忘れた、決められた時間に飲めなかったら
お薬によって対応は異なります。事前に、飲み忘れた場合の対応を薬剤師に確認しておきましょう。
どうしても飲めないときは・・・
子どもによっては、粉薬は飲めないが、小さな錠剤なら飲めるなど、お薬の形状にも好みのタイプがあります。そんなときは、形状が違っても同じ成分のお薬がある場合もあるので、薬剤師に相談ください。
さらに、どうしてもお薬が飲めない場合は、座薬や貼り薬などで病気が改善できるかも知れないので、その際も薬剤師に相談ください。
お薬を誤って飲んでしまった!
医薬品、タバコ、電池等を誤飲・誤食してしまったときなど対応がわからないときは、「日本中毒情報センター(中毒110番)」へご相談ください。
日本中毒情報センター(中毒110番)
薬の保管場所
子どもの医薬品誤飲事故を防ぐため、以下の点も注意をすることが必要です。
また、薬の保管方法につきまして、詳しくは下記をご参照ください。
子どもがお薬を楽に飲める便利グッズをご紹介!
龍角散 おくすり飲めたね
森永製菓 にがいのにがいのとんでいけ
ジュースなどに混ぜると苦くなってしまう抗生物質などの服用に向いています。
袋オブラート、イチゴ風味
くすり飲み ママも安心おくすりスプーンらくらくこっくん
おくすりスプーン「らくらくこっくん」は、赤ちゃんにお薬を飲ませるために開発された投薬専用スプーンです。
まとめ
子どもにお薬を飲ませることは大変です。せっかく飲ませたお薬を吐いたり、むせてぐったりする姿を見ると、お薬を飲ませることに罪悪感さえ覚えてしまうこともあるものです。
「うちの子だけがどうして?」と思いがちですが、薬が上手に飲めない子どもを持つ親保護者は全体の8割を占めています。
一人で悩まず、不安や疑問があればどんなことでも、お薬のプロである薬剤師にご相談ください。お子さんが楽にお薬を服用できるように全力でサポートさせていただきます。
監修土橋弘靖(薬剤師)
- 研修認定薬剤師
- 認定実務実習指導薬剤師
- 認定がん医療ネットワークナビゲーター
- スポーツファーマシスト
- 日本在宅薬学会バイタルサインエヴァンジェリスト
- 腎臓病薬物療法単位履修修了薬剤師
- 心電図検定3級