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2021.8.18

たかがゲーム?ゲーム依存症の診断・治療方法

ゲーム依存症の診断と治療

昨今のコロナ禍における感染対策として、「ステイホーム」が呼び掛けられています。

しかし、ただ家にいることはなかなか難しく、ゲームで時間を消費している人も多いのではないでしょうか?

ゲームをしているとあっという間に時間を使うことができますが、極端に依存してはいけません。

そこで、最近話題の病名である「ゲーム依存症」とはどういったものか。また、どういった症状があればゲーム依存症を疑うべきなのか。そして、ゲーム依存症の診断・治療方法について解説します。

昔、ゲーム依存症なんてあった?

日本におけるゲームの変遷

1970年台に商業用のゲームが発売され、喫茶店やゲームセンターで遊ぶことができました。

そして、1983年に任天堂から「ファミリーコンピュータ」が発売され、家庭にあるテレビを使って気軽にゲームが楽しめるようになりました。

さらに、任天堂のゲームボーイを代表とする携帯型のゲーム機の登場で、その持ち運びの手軽さゆえ、移動中など日常生活の空き時間にゲームで遊ぶことが可能になりました。

また、1990年代にはインターネットの普及に伴い、オンラインゲームが開発・販売されます。

日本におけるゲームの変遷

そして、今ではスマートフォンの普及により、いつでもどこでも気軽にオンラインゲームが楽しめる環境になりました。

ゲームを楽しむ環境は大きく変わり、ゲームはとても身近なものになりました。

ゲームとインターネットの関わり

いつでもどこでもゲームが楽しめる環境になり、ゲームがインターネット環境の『オンライン』で楽しめるようになったことが、『ゲーム依存症』と密接な関わりがあると言われています。

オンラインゲームはオフラインゲーム(過去のゲーム)と違い、定期的に新しいストーリーや武器、キャラクターなどのアップデートを繰り返し、同じゲームでも長く遊べるようになっていることが多いです。

そして、仲間とプレイすることを目的としたゲームも多く,同じ興味を持った人が集まるため、ゲーム内で新たな人間関係が構築され、ゲームの世界から抜けることが難しくなることもあります。

このように、ゲームが身近になり、さらにオンラインになったことで以前よりも、ゲームに依存しやすい環境となり、ゲーム依存症と診断されるケースが多くなっていると考えられます。

なかいまち薬局・ぴょんすけ

武器や装備、キャラクターへ課金をすることにより、ゲーム会社の売り上げに繋がる手法が多く取られています。

ゲーム依存症ってどんな病気?

ゲーム依存症になったら、どんな症状がでるか見ていきましょう。

日中の眠気、睡眠障害、起床困難

ゲーム依存症と睡眠障害

ゲーム依存症の代表的な症状は、生活リズムの乱れです。

オンラインゲームの場合、一人ではなく仲間とプレイしていることが多く、自分の都合でゲームを終了できない場合があります。

またゲームにのめり込み、時間を忘れてゲームをしてしまい睡眠時間を削る人もいます。

このような状態では睡眠障害や日中の眠気、朝起きられないなどの症状が出ます。

怒りっぽくなる

ゲームに依存していると、ゲームをしていない時にいわゆる「離脱症状」が出てしまい、ゲームができないことに対してイライラしたり、怒りっぽくなります。

このせいで家族や友人に暴力を振るったり、暴言を言ったりして仲が悪くなります。

ただ、ゲームの過剰使用が、感情をコントロールする「脳の前頭前野」という部位の機能を低下させる可能性もあると言われており、離脱症状だけがイライラや怒りっぽくなる原因ではなさそうです

肥満、低栄養、骨が弱くなる

長時間ゲームをするということはそれだけ「運動をしていない」ということです。

運動不足になると当然、体力が落ちます。

さらにご飯を食べる時間も不規則になるため、肥満になる人が多いです。

一方、食事も摂らずに長時間ゲームをする人もおり、その場合は低栄養状態になってしまいます。

また、長時間のゲームで家から出ないと、日光を浴びないため骨が弱くなります。ゲーム依存症になると若いのに骨が弱い「骨粗鬆症」になる人もいます。

なお、韓国では長時間のゲームのせいで、エコノミークラス症候群になったとの報告もあります。

ドライアイ、頭痛、肩こり

長時間ゲームをすると当然、眼が疲れ、ドライアイや後頭部の痛みなどが出ます。

また、ゲームの画面を見るのに前屈みの姿勢になる人が多く、肩こりになる人も多いです。

金銭問題

オンラインゲームでは、課金することで強いキャラクターや武器、便利なアイテムを使えることが多いです。

ゲーム内の課金により多額のお金を浪費する場合があります。

なかいまち薬局・ぴょんすけ

子供が親のクレジットカードを勝手に利用し、後から高額請求がくるといった事例も問題になっています。

ゲーム依存症の診断基準

ゲーム依存症と診断される条件はなんでしょうか?実は「ゲーム依存症」が正式な病気になったのは最近です。

2018年に、世界保健機関(WHO)がゲーム依存症って病気なのでは?と提案し、正式に「病気」として病名が使用されるのは2022年からです。

そのため、現在、色々なゲーム依存症の診断方法がありますが、表現が曖昧だったり、分かりにくいところもあるので「MIRA-i」というサイトで、ゲーム依存度のチェックをしてみるのが早いでしょう。

ゲーム依存症と診断されたらどうする?

ゲーム依存症になると治らないのかと、心配になる人も多いと思いますが、ゲーム依存症に対する治療はどのようなものがあるか解説します。

認知行動療法

ゲーム依存症と生活習慣

認知(考え方)と行動を見直し、修正していくという方法です。

自分はゲーム依存症ではないと思っていても実は依存症という方が多いので、まずは自分が今どういう状態かを理解することから始めます。

円グラフなどで1日の生活習慣を書くなどすれば、自分の生活を客観視することでどの部分を直すべきかが分かります。

薬物療法

実はゲーム依存症に発達障害やうつ病などが合併していることがあります。

それらがある場合には、その治療を行うことで依存を解消することができます。

他にも、多くの人はゲームのしすぎで睡眠障害が問題となるので、無理矢理寝る(睡眠導入剤を使用する)のも一つの手です。

家族へのアプローチ

上述した治療以上に、重要なのはゲーム依存症の家族の協力、理解です。

ゲームやスマホに依存しているからと、家族がそれらを取り上げるとゲーム依存症患者は当然反発します。そうなれば家族間で仲違いし、ゲーム依存症患者自身が治療に積極的でなくなります。

それよりも、ゲームを取り上げようとしているわけではなく、体の心配をしていることをゲーム依存症患者へ根気強く伝えましょう。

自身が治療に前向きになってもらう事がとても重要です。

ゲーム依存症と家族の協力

治療キャンプ

ゲーム依存症患者自身が、依存症であると認識できた状態であれば、1週間程度、ゲームやインターネットがない環境に行くのも効果的です。

その環境下で、カウンセリングや自然環境を生かしたアクティビティを行い、ゲーム以外にも楽しいことがあるのだと感じてもらう治療です。

すでにネット依存症に対して行われており、効果があると証明されています。

ただ、問題点としてやはり本人の自覚がないとだめです。

もし、無理矢理キャンプに行かせてしまった場合、キャンプから帰った時に今まで以上にゲームへ依存する可能性があります。本人の意思を確認した上で行うべき治療です。

まとめ

コロナ禍で、今までよりもゲームに費やす時間が増えてしまった人は多いでしょう。

ゲーム自体は悪いものではありません。オンラインゲームでコミュニケーションを取ることで社交性が学べることもあるでしょう。

ただ、ゲームに依存して現実社会を蔑ろにしてはいけません。ゲームとは上手に付き合いましょう。

昔からよく言われる「ゲームは1日1時間」というのは、実はとても理にかなった言葉なのかもしれませんね。

監修漆畑俊哉(薬剤師)

漆畑俊哉(薬剤師)
  • 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
  • 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
  • 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
  • 在宅療養支援認定薬剤師

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