梅雨による体調不良の原因と対策
「梅雨の時期は、毎年体調が悪くなってしまう」そんな方はいませんか?毎年のことなので少しでも楽に過ごしたいですよね。
今回は、さまざまな原因が関与している梅雨時期の体調不良について、体調を崩しやすい理由と簡単にできる対策を解説します。
梅雨で体調を崩しやすい理由
梅雨に体調を崩す理由は非常にたくさんあります。その中でも多くの方が影響を受けている原因について記述いたします。
気圧の低さ
梅雨の時期は、曇りや雨の日が多く気圧も低めで血管が拡張しがちです。
拡張した血管を収縮させるために交感神経が働きますが、うまく働かずに血管が拡張したままになっていると頭痛を感じる方が多いです。
また通常はリラックスタイムには副交感神経が働き、仕事などをしているときには交感神経が働くようになっていますが、気圧が低いと交感神経ばかりを働かせることになってしまい、うまく休息がとれず疲れやすくなります。
湿度の高さ
梅雨の時期は湿度が非常に高く、体から汗をうまく出すことができなくなりがちです。
そのため、体に余分な水分や老廃物を貯めることに繋がり、むくみやだるさ、頭痛、肩こりなどを起こします。
また、東洋医学では、「過剰な湿度で胃腸が弱る」という考え方があり、梅雨時期に食欲がなくなってしまうのには湿度も関係しているのです。
カビ・ダニの繁殖
湿度が高い状態が続くと、カビやダニなどが繁殖することがあり、それによって鼻水やくしゃみといったアレルギー症状、皮膚の発疹などが出るかもしれません。
カビは湿度75%以上、ダニは湿度60%以上の環境を好んで生息しますので、シーツのこまめな交換、布団の除湿などの対策をとることが大切です。
睡眠不足
梅雨時期は上述したように湿度が高く、副交感神経がうまく働かないなどの理由で、睡眠不足に陥りがちです。
なんとなく眠りが浅かったり、寝苦しくて夜中に起きてしまったりといった経験のある方は多いのではないでしょうか?
睡眠が浅いと疲れが取れないので、イライラや集中力の低下にも繋がってしまいます。
また夏に向けて寝苦しい日が続いてしまうと、体力が落ち、そのまま夏バテになることもありますので、梅雨の時期から体調を整えておくことが大切です。
日照不足
梅雨の時期は、天気が悪く日照時間も短いです。空が晴れないと、なんとなく気分が上がらないなと感じる方もいるかもしれませんが、実際に日照時間と気分には関係があります。
体内で幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」を作るためには、朝に太陽の光を浴びることが必要で、このセロトニンは、夜になると「メラトニン」という睡眠ホルモンに変化し、寝つきにも関与することがわかっています。
セロトニンが十分に作られないとイライラする・落ち込むといったネガティブな気分になりやすいので、梅雨時期には、少し晴れ間がでたら外へ出て日光を浴びるようにしましょう。
梅雨時期の体調不良対策
梅雨の時期特有の体調不良に対して、おすすめの対策を紹介します。取り入れられそうなものがあれば、実践してください。
カビ・ダニ対策
カビやダニが繁殖しないよう、おうちの中の対策をしましょう。
カビもダニも、ヒトのフケや食べこぼしなどを栄養源にして増殖しますので、カーペットや布団はこまめに掃除機をかけ、シーツの交換も頻繁にすることが大切です。
また布団やマットレスの下には除湿シートや、すのこなどを敷き、湿気がこもらないようにしてください。
なお、ダニは50℃以上になると死滅します。布団乾燥機を使うと、60~70℃ほどまで温度があがり布団の除湿もおこなえますので、布団乾燥機はダニ対策にもおすすめです。
湿度管理
除湿機などを使い、部屋の湿度を40〜60%に調整しましょう。
湿度が60%を超えると、細菌やカビが繁殖しやすくなり衛生的にもよくありません。
全ての部屋を除湿するのが難しい場合は、寝室など長い時間を過ごす部屋の除湿を優先しましょう。
ぬるめのお湯で入浴する
ぬるめのお湯で入浴することも大切です。
38〜40℃程度の「ぬるめのお湯」に20分程度入浴することで、副交感神経を働かせることができ、体をしっかりと休ませることに繋がります。
ただ、お湯の温度が42℃以上になると交感神経が活発になってしまうため、寝る前に適しているとはいえません。体を休息モードへ切り替えるため、寝る前の入浴はぬるめのお湯でおこないましょう。
梅雨に負けないからだの作り方
梅雨の時期に体調を崩してしまわないよう、からだを整えておきましょう。
適度な運動
梅雨時期は外に出るのが億劫になり、運動不足になるという方も多いです。
運動をすることで、梅雨時期に乱れやすい自律神経をととのえることに繋がります。また、適度に疲れることで、睡眠の質向上も期待できるでしょう。
そして、夏に向けて暑くなっていく気温にからだを慣れさせるためにも運動は効果的です。からだを暑さに慣らすことを「暑熱順化」といい、1日30分程度のウォーキングや筋トレ、ストレッチなどが推奨されています。
ビタミンDを補給
梅雨時期は、日光に当たる機会が減ってしまいます。そのため、日光を浴びることで体内に作られる「ビタミンD」が不足しがち。
ビタミンDは、幸せホルモン「セロトニン」の分泌を調整する栄養素です。セロトニンが不足すると気分が落ち込みやすくなったり、細菌やウイルスに対する抵抗力が低下したりすることがわかっています。
ビタミンDを補給するため、魚介類やレバー、卵、きのこなどを食事に取り入れてみてください。油で炒めることで吸収効率がアップします。また、晴れている日には10分でもよいので日光浴をしましょう。
十分な睡眠
睡眠をしっかりとることも大切です。時間だけでなく、睡眠の質を高めるように対策しましょう。
湿気でしめった寝具を使っていては、寝苦しさが増してしまいますので、布団乾燥機や冷却マットレスなどを使いながら、快適に眠れる環境を作りましょう。
また、頭を冷やしながら寝ることで、夜中に起きる回数が減り、睡眠の質が高まったという報告があります。
梅雨時期の体調管理に効果のあるお薬
対策をとってもうまく体調不良が改善しないという方は、薬でサポートしてみるのもおすすめです。
五苓散
漢方薬の「五苓散(ごれいさん)」は、体のよけいな水分を取り除く働きがあります。
水分の代謝が悪くなったことで頭痛やめまいを生じている方、むくみがあるのに尿量が少ない方に向いた漢方薬です。
防已黄耆湯
漢方薬の防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、下半身を中心によけいな水分を取り除く働きがあります。
そのため、梅雨時期になると関節が重い、関節が痛い、足を中心にむくむという方に向いた漢方薬です。
人参湯
漢方薬の人参湯(にんじんとう)は、梅雨に伴って体の冷えや疲れがあり、食欲がなくなってしまったという方におすすめです。
胃腸をあたため、消化を助ける働きがあります。
まとめ
今回は、梅雨の時期に体調を崩しがちな理由と対策について解説しました。
湿度や気圧の変化、自律神経の乱れなど、さまざまな要因が梅雨の時期の体調不良に影響しています。少しでも元気に過ごせるよう、紹介した対策を実施してみてください。
監修漆畑俊哉(薬剤師)
- 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
- 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
- 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
- 在宅療養支援認定薬剤師