ストレートネックの症状と改善予防方法
首から肩にかけての張りがつらい、肩こりから頭痛やめまいがあるという方はいませんか?
これらの症状は、もしかするとストレートネックが原因かもしれません。
本記事は、ストレートネックとは何かを解説するとともに、改善のためのケア方法や、漢方薬を紹介します。
ストレートネックとは
今や、日本の成人は約80%がストレートネックまたはその予備軍といわれています。
よく耳にする単語ですが、詳しくご存知でしょうか?
ストレートネックの原因は姿勢
首の骨(頚椎)は、本来であれば少しカーブした形をしています。
このカーブのある状態が重たい頭を支えるのに最も適した形ですが、ストレートネックは、頚椎の理想的なカーブが失われ、まっすぐになった状態をさします。
悪い姿勢で、長時間にわたってパソコンやスマホを覗き込むことが主な原因で、パソコンやスマホの普及とともに、ストレートネックに関連した症状に悩む方が増えています。
ふと気がつくと、首を前に突き出していたり、背中が曲がっていたりしませんか?
背筋を伸ばし、視線を上げてみましょう。
肩こりだけじゃない多彩な症状
ストレートネックによって起こる代表的な症状といえば肩こりです。
ストレートネックの方は、不自然な形になってしまった頚椎で約5kgもある頭を支えなくてはなりません。
頚椎がまっすぐになり頭を支えるのが難しくなった分を補うため、首や肩周りの筋肉を一生懸命使っています。
その結果、首や肩の張り、背中の痛み、肩こり、それによる頭痛やめまいなどが生じるのです。
首の筋肉が神経を圧迫して痺れが出る場合もありますが、痺れは頸椎症やヘルニアの可能性もありますので、痺れの症状が続くようであれば整形外科を受診しましょう。
ストレートネックは子供にも
ストレートネックは大人だけでなく、子供にも生じる可能性があります。
大学病院の小児科で、長引く不調(頭痛、朝起きられない、元気が出ないなど)を訴える子供たちを調べた報告があります。
報告によると、ストレートネックの傾向のある子供が一定数おり、筋肉をほぐす薬での治療やストレッチでの介入をおこなった結果、不調が改善したということです。
子供の不調がなかなかよくならないときには、姿勢を見てあげるとよいかもしれませんね。
ストレートネックのケア方法
次に、自宅でできるケア方法について解説します。少しでもつらい症状が和らぐよう、取り入れてみましょう。
あたためる
肩周りの筋肉がこり固まって冷えていませんか?
筋肉のこりは肩こりやそれに関連した頭痛を引き起こす原因ですので、しっかりとあたためてほぐす必要があります。
筋肉をあたため、ほぐすには肩まで浸かって入浴、肩をあたためるグッズを使うなどがおすすめです。そして肩や首をゆっくりと回して血流を促すようにしましょう。
仕事中でも、家事の最中でもできる手軽な方法なので、ぜひ取り入れてみてください。
ストレッチ
手の重みで軽く押さえて、首の筋肉をほぐしていきます。
なるべく真っすぐに首を左右にたおし30秒ずつ数え、真っすぐ横にたおすストレッチが終わったら、少し斜め前にたおして同じように30秒ずつキープしましょう。
下を向く姿勢を避ける
「下を向く」という動作によって、首に約15~20kgもの負荷がかかります。
座って本を読んだりスマホを使ったりする時、どんな姿勢になっていますか?おそらく多くの方が膝に本やスマホを置いて、首を下に向けてしまっていると思います。
腕を持ち上げて、目線を高くして首に負担がかからないように読むよう意識しましょう。
またPCの画面は、台を設置するなどして目線を調整すると首の負担が少なくなります。
そして日常生活でも、下を向くという動作は多くあります。たとえば、靴を履く、食器を洗うなどです。
靴を履く時には、しっかりしゃがむか、靴ベラを使うようにすると下を向かずに履き、食器を洗う時にも、思いのほか猫背になっていることがありますので、足を大きく開いて立ち姿勢を意識してみましょう。
そして、食事中にスマホをいじることも避けたほうがよいでしょう。
テーブルにスマホを置いて操作していると、どうしても首が下に向いてしまいますので、スマホスタンドなどを活用して目線が上がるように工夫をしましょう。
ストレートネックはメンタル面へ影響も
ストレートネックが引き金となって、自律神経が乱れることもあります。
自律神経が乱れてしまうと、不眠や気分の落ち込み、便秘、めまいなど全身にさまざまな影響がでることがあります。
その中で、不眠や気分の落ち込みには、朝の日光浴がおすすめです。
日光を浴びることで、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」が脳内で作られるようになります。
セロトニンは、作られてから15時間ほどたつと、睡眠ホルモンの「メラトニン」へ変化します。朝に日光浴をすることで、夜に自然と眠くなるような体づくりが可能なのです。
そして体を動かし、規則正しい生活をすることで、自律神経も整いやすくなります。
冬で天気が優れない日も多いですが、外に出るということ自体が精神面にいい影響があります。
コロナ禍で外出の機会が減ってしまっている方が多いかもしれませんが、感染対策をした上で30分ほど散歩に出かけてみませんか。
ストレートネックの症状に効果的な漢方は
ストレートネックにはさまざまな症状があるとお伝えしましたが、ここではひとりひとりの体質に合った漢方薬を紹介します。
ストレートネックの症状緩和に役立ててみてください。
肩こりの強いタイプ
肩こりが気になる方には、葛根湯(かっこんとう)がおすすめです。風邪に使う漢方薬ですが、筋肉をほぐす働きもあるため肩こりにもよく使われます。
葛根湯(かっこんとう)は以下の体質の方に向いている漢方薬で、漢方薬のなかでは比較的即効性がありますので、効果を実感しやすいでしょう!
肩周りの冷えがあるタイプ
冷えや痛みがある方には、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)がおすすめです。
体をあたためる生薬がいくつか配合されており、リウマチなどの痛みの治療に用いられることがある漢方薬です。
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)は以下の体質の方に向いている漢方薬ですが、ほてり、のぼせ感のある方は効果が得られない可能性がありますので体質をよく確認してからご利用ください。
寒くなると痺れや痛みがあるタイプ
寒い季節や冷えを感じた時に痺れ・痛みがある方は、疎経活血湯(そけいかっけつとう)がおすすめです。
この漢方薬には、水分や血液の循環をよくする働きがあり、梅雨の時期や雨の日などのジメジメした日の痛みにも効果的です。
なお、疎経活血湯は、比較的どんな体質の方にも合うように作られていますが、17種類もの生薬が使われていますので、他の漢方薬と併用する場合には、特定の生薬が過量になってしまう可能性があります。
ご自身にあった漢方薬、飲み合わせなどは、かかりつけ薬剤師や医師に相談をしてくださいね。
まとめ
ストレートネックは、肩こりや頭痛、めまい、しびれなどさまざまな症状を引き起こします。
自律神経が乱れ、不眠や気分の落ち込みなど、精神面にも影響する場合もありますので、入浴やストレッチでストレートネックの根本からの改善を目指すとともに、漢方薬でつらい症状をやわらげてください。
監修漆畑俊哉(薬剤師)
- 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
- 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
- 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
- 在宅療養支援認定薬剤師