夏風邪の症状と対策
みなさまの周りで、だんだんと「夏風邪」の方が増えてきてはいませんか?夏風邪は、冬の風邪とは対策方法が少し異なります。
今回は夏風邪とは何か、そしてどのような対策をとったらよいか解説します。
夏風邪の特徴は?
冬の風邪の代表である「インフルエンザ」等と夏風邪とは、どのような違いがあるのでしょうか?
夏風邪ウイルスは高温多湿を好む
インフルエンザウイルスは乾燥を好むのですが、夏風邪を起こすウイルスは高温多湿を好むという特徴があります。
日本の夏はジメジメと蒸し暑く、気温は30度、湿度は70%を超える日も多いです。
この高温多湿の気候が、夏風邪を起こすウイルスの活動を活発にしてしまいます。
夏風邪ウイルスは子どもに感染しやすい
アデノウイルス、エンテロウイルスが夏風邪を起こす2大ウイルスです。
この2つは、主に小さな子どもの間で流行するウイルスで、あまり大人には影響がありません。
大人の夏風邪は、疲れや夏バテの影響が大きいですが、暑さによる食中毒(感染性胃腸炎)にも注意が必要です。
代表的な子どもの夏風邪
それでは、代表的な夏風邪(手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱(プール熱))について解説します。
また重症化のサインがある場合には、すぐに病院へ連絡するか受診しましょう。
手足口病
文字通り、手や足、口の周りに症状を起こす病気で、4歳以下の子どもに多く発症します。
小学生のあいだで流行することもありますが多くはありません。
また大人での発症もほとんどありませんが、これまでに発症したことがない方は注意が必要です。
症状
対策
重症化のサイン
ヘルパンギーナ
日本では5月ごろから増え始め、7月をピークに9月ごろまで乳幼児を中心に流行します。
症状
対策
重症化のサイン
咽頭結膜熱(プール熱)
プールでの接触やタオルの共用で発症することが多いため、プール熱とも呼ばれていますが、プール以外の接触でも感染することはあります。熱はおおよそ5日ほど持続しますが、自然と治ることが多いです。
症状
対策
重症化のサイン
夏におすすめの風邪対策商品
ご紹介した3つの夏風邪以外にも、夏は大人も体調不良を感じることは多いです。
そこで、夏の体調不良の対処におすすめの商品を紹介させていただきます。
お腹の冷えによる下痢に
プールや冷房でお腹が冷えてしまって下痢に…という場合には、下痢止めを使ってもかまいませんので、市販の下痢止めを常備しておくとよいでしょう。
なお、食中毒の場合、下痢止めの使用はおすすめできませんので、注意してください。
喉の痛みに
風邪やその前兆、乾燥などによって喉が痛くなってしまったときには、トローチなどがおすすめです。炎症を抑える成分や殺菌成分が含まれています。
夏バテには漢方薬も
夏バテ症状には、漢方薬が使われることもあります。
暑くて食欲がなく、冷たいものばかり食べてしまっていませんか?ずっとクーラーの風を浴び続けていませんか?夏バテで元気が出ない方には、補中益気湯が効果を示すかもしれません。
自律神経失調症の治療に使われることもあり、夏の暑さやエアコンの使いすぎで自律神経が乱れている方におすすめです。
夏に注意したい生活習慣
夏を元気に乗り越えるため、以下の改善点があれば取り入れてみてください。
エアコンの使い方
熱中症対策としてエアコンの活用をぜひオススメしたいのですが、使い方にはお気をつけください。
エアコンや扇風機の風を直接体に当てると、体の水分が奪われ脱水や疲れに繋がってしまうことがあります。
そして、エアコンの風を浴びることで喉の乾燥を起こすと、ウイルスを喉でブロックする「繊毛(せんもう)」の働きが弱くなり、風邪をひきやすくなってしまいます。
また、エアコンでキンキンに冷えた部屋から外へ出たときには、急な体温調節が必要となり、その体温調節を担うのは自律神経です。
室温と外気温の差が大きすぎると、自律神経を過剰に働かせることになり、疲れや夏バテに繋がります。
エアコンの設定温度は下げすぎずに、除湿で体感温度を下げるなどの工夫をしてみましょう。
生活リズムの乱れ
暑さで生活リズムが乱れてしまっていませんか?
生活リズムの乱れは、体調管理を難しくする原因の1つです。しっかり朝日を浴びて、日中は体を動かし、毎日同じくらいの時間に眠ることが大切です。
夜中に何度も起きてしまう方は、寝室の温度・湿度、寝具などの環境を見直してみましょう。
また夏は暑いからと、湯船につからずシャワーだけで済ませていませず、エアコンで冷えてしまった体を、湯船でゆっくり休ませてあげることも大切です。
栄養バランスの偏り
暑さで食欲が落ち、そうめんなどの一品料理や、ゼリーなどのさっぱりしたものだけで過ごしていませんか?栄養バランスが偏った食事によって、夏バテを起こしてしまうかもしれません。
また、冷たい食事ばかりとっていると胃腸が冷え、動きが悪くなって食欲不振に拍車をかけてしまうこともあります。
体力を維持するためにも、夏でも栄養バランスを考え、温かいものも食べるように意識しましょう。
まとめ
今回は、主な夏風邪と夏の体調不良に使える薬と予防策について解説しました。
子どもに流行しやすい夏風邪は、しっかりと手洗い・うがいをすることが大切です。また、夏バテや冷えから体調不良を起こさないよう、生活習慣を見直してみましょう。
監修漆畑俊哉(薬剤師)
- 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
- 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
- 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
- 在宅療養支援認定薬剤師