お薬手帳が必要な理由
お薬手帳とは、服用しているお薬や、過去に飲んでいたお薬の情報がまとめられている手帳で、最近は調剤薬局だけでなく、病院などでも提出を求められる機会が増えてきました。
そして、今やお薬手帳は、冊子型のタイプだけでなく、スマホアプリなどを利用したタイプもあり、持ち運びも便利になりましたね。
本記事では、お薬手帳のメリットや活用方法について、改めて解説をさせて頂きます。
お薬手帳に記載されている事
お薬手帳には、主に以下の内容が記載されています。
それでは、お薬手帳が、実際どのように役立つのか、以下解説します。
お薬手帳を利用するメリット
副作用や飲み合わせのリスクを軽減することができる
お薬手帳を持っている事で、医療機関での過去のお薬履歴が分かるため、飲み合わせや、お薬の重複を避ける事が可能になります。
また、副作用歴、アレルギー情報、過去にかかった病気等も記載、伝える事で、医師、薬剤師が薬の相互作用をチェックすることが可能です。
複数の医療機関を利用する場合にも、お薬手帳を医師・薬剤師に見せることで、副作用のリスクを軽減することが可能になりますね。
旅行、災害などの緊急時の活用
旅先などで、かかりつけの病院や薬局に行くことができない場合や、家族が服用しているお薬を説明しなくてはならない場面においても、お薬手帳を医師や薬剤師に見せることで、服用中のお薬の情報を正確に伝えることができます。緊急時に備えるという意味でも、お薬手帳は役にたちます。
お薬手帳を持参することで薬代が安くなる
現在、お薬手帳を提示すると、正確な調剤や監査のために必要な情報が素早く入手でき、よりスムーズに調剤できる可能性が高いというメリットにより、提示しなかった場合と比べて、調剤報酬は安く設定されています。
すなわち、お薬手帳を提示することで、調剤薬局で支払う料金が安くなるので、料金面からもお薬手帳を活用したほうがお得ということになります。
お薬手帳を提示することで、調剤薬局で支払う料金が安くなるのであれば、是非活用したいところですよね。
2016年4月の診療報酬改定により、6ヶ月以内に同じ薬局で、おくすり手帳を持参して調剤を受けた場合の管理指導料は、380円(3割負担の場合、約110円)となり、はじめて行く薬局や、おくすり手帳を持参しなかった場合は、500円(3割負担の場合、約150円)となりました。
つまり、おくすり手帳を持っていけば、3割負担の方は約40円、1割負担の方で10円安くなるというわけです。
※薬局によっては、金額が変わらないところもあります。
※同じ薬局であっても6ヶ月以上その薬局への来局歴がない場合や、新患の場合には当てはまりません。
お薬手帳の活用法
お薬手帳は、調剤薬局でもらった薬を、記録するだけのものと思っている方も多いのではないでしょうか。
ご自身で、病気や薬について気になる事、聞きたい事等を記入し、それを医師や薬剤師に見せる事で、安心して薬を使用できる事に繋がります。
では、どういったことを記入すれば良いのか、具体例も合わせて紹介します。
薬局で市販薬を購入した際
市販薬を服用しているときに、病院や薬局に行くこともあるでしょう。
市販薬であっても、副作用や飲み合わせのリスクはありますので、ドラッグストアなどで購入した市販薬の情報も、お薬手帳に記入しておきましょう。
お薬の説明書等を、お薬手帳に貼っておくのもいいですね。
健康診断や血液検査の結果
健康診断や、献血や病院で受けた血液検査の結果も、お薬手帳に貼っておくと、お薬を処方してもらう際に役立つことがあります。
特に、健康診断等で異常があった項目や、気になる部分は、記入しておくと良いでしょう。医療関係者がチェックすることで、思わぬ副作用の回避にもつながります。
お薬手帳を持つ上での注意点
お薬手帳は1冊にまとめる
「毎回お薬手帳を持って行くのを忘れてしまい、家に何冊もたまっている。」という方も、少なからずいらっしゃるかもしれません。
お薬手帳は、現在までの服用歴が記載されている「お薬の履歴書」のようなものになります。
複数の手帳を持ってバラバラに管理していると、今までご自身の体に合わせて出された「お薬の履歴」がわかりません。
せっかくのお薬手帳も、バラバラで情報が一元管理されていないと、効果が半減してしまい、お薬手帳を持つ意味がほとんどなくなってしまいます。
手帳が何冊もあるという人は、薬局の薬剤師にお願いをして、1冊にまとめてもらいましょう。
お薬手帳をアプリで管理
お薬手帳は、医療機関にかかる際には必ず利用したいものですが、なかなか常に携帯しておくというのも大変ですね。
最近では、スマートフォンのアプリ上で管理ができるものも登場しています。
アプリで管理するメリット
スマートフォンは、日常的に持ち歩いているものですので、急にお薬手帳が必要な状況でも、アプリに登録しておくことで、旅先、外出時等、日常生活のほとんどの場面で対応できるかと思います。
そして、ご自身の分だけでなく、家族の分も管理できるアプリも多いですね。
こちらは、冊子型の従来のお薬手帳にはないメリットになります。
お薬の登録自体もQRコードを読み込むだけで登録出来たり、非常に簡単なのも特徴です。
まとめ
お薬手帳は、お薬についての重要な記録ですので大切に保管しましょう。
そして、病院、薬局に行く時は、必ず携帯してくださいね。
スマートフォンをご利用の方は、アプリを活用することで、お薬手帳忘れの防止にも繋がりますので、そちらも検討してみてはいかがでしょうか。
お薬手帳は、ご自身の体を守るという意味でも、メリットが大きいものですので、是非有効活用することをおすすめさせていただきます。
監修漆畑俊哉(薬剤師)
- 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
- 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
- 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
- 在宅療養支援認定薬剤師