災害時の薬の備え方
私たちが住む日本列島は、自然災害を避けて通ることができません。
いつ発生するか分からない災害に備え、お薬につきましても日ごろから備えをしておく必要があります。
そこで、本記事では災害時でも困らないお薬の備え方につきまして解説をします。
災害時によくあるお薬のトラブル
過去の災害では、以下のようなお薬のトラブルが発生しています。
避難生活が長引き、手持ちのお薬がなくなる
災害時は、普段当たり前に飲んでいる薬が手に入りにくくなります。
そのような時でも困らないように、3日から7日分くらいのお薬は、外出する際に持ち歩く習慣をつけておくとよいでしょう。
いつも飲んでいるお薬の種類や名前が分からない
お薬の名前は、できれば覚えて頂きたいのですが、横文字が多く覚えにくいですよね。そんな時こそ、「おくすり手帳」が役に立ちます。
処方されたお薬や、ドラッグストアなどで購入したお薬の情報が記載されたお薬手帳を、医師や薬剤師に見せることで、お薬の情報を正確に伝えることができます。
病院や薬局のお薬の備蓄がなくなる
災害時は物流が止まり、お薬が病院や薬局へ届かなくなることがあります。
交通網がまひしても、お薬に困らないように3日から7日分のお薬は手元に持っておくようにしましょう。
また、薬の在庫がなくなり、代薬を利用することもありますので、お薬手帳に副作用歴やアレルギー歴をメモしておくとよいでしょう。
災害時に備え、いつも携帯しておきたいもの
災害時にお薬に困らないよう、外出時に持ち歩いて頂きたいものは次の通りです。
小さなファスナー付きのケースなどにまとめて入れて持ち歩くと、取り出しやすく便利ですよ。
災害時にお薬がないときの対処法
もし、災害時にお薬がなくなったら、次の方法で入手しましょう。
慢性疾患などで定期的に薬を飲まなければいけない患者様は、普段なら医師の処方箋を書いてもらわなければ、薬局で薬を出してもらうことはできません。
しかし、災害時には、後で医師から処方箋を書いてもらうことを条件に、ふだん飲んでいる慢性疾患の治療薬なら、緊急対応として薬局で出してもらうことが可能になるケースもあります。
ただし、その際は、お薬名を正しく伝えなければなりません。災害時などの緊急事態こそ「おくすり手帳」を携帯しておくことが大切になります。
準備しておきたい常備薬
災害に備え、普段から常備薬として家庭で備えたいものが、次のようなお薬です。
慢性的な病気などで薬を常用している場合には、飲み合わせの危険性もあるため、薬局などで購入する際は、薬剤師に相談してから購入するようにしましょう。
かぜ薬
パイロンPL錠
解熱鎮痛薬
タイレノールA
胃腸薬
スクラート胃腸薬
湿布薬、外用薬
ボルタレンEXテープ
虫刺され、水虫
ムヒアルファEX
花粉症、アレルギー
アレグラFX
その他衛生用品
その他にも、栄養補助食品(ブロックタイプのバランス栄養食品やゼリー飲料など)は、薬局で様々な種類がそろうので、気に入ったものをストックしておきましょう。
栄養補助食品はローリングストック法
缶詰や、レトルト商品などの非常食を日常的に食べながら買い足していく備蓄法のことをローリングストック法といいます。
薬局などで買った栄養補助食品もストックしたままでなく、賞味期間が近いストック品から食べていき、食べた分だけ買い足すようにしましょう。
まとめ
地震や台風、大雨などはいつどこで起こるかわからないので、いざというときのために、日ごろからあらゆる面で備えておく必要があります。
命からがら避難所にたどりついたものの、残念なことに多くの人が指定避難所で命を無くしています。
そういったことは、絶対さけなければいけません。
いつも使用しているお薬は、最低3日から7日分くらいは身につけておくようにし、お薬手帳も携帯するようにしましょう。
自分の命は自分で守ることを基本に、あらためて自分や家族にとって必要な薬について考えてみましょう。
監修土橋弘靖(薬剤師)
- 研修認定薬剤師
- 認定実務実習指導薬剤師
- 認定がん医療ネットワークナビゲーター
- スポーツファーマシスト
- 日本在宅薬学会バイタルサインエヴァンジェリスト
- 腎臓病薬物療法単位履修修了薬剤師
- 心電図検定3級