いびきの原因を知ろう!いびきは隠れた病気のサイン!
「家族のいびきがうるさくて眠れない!」という悩みはありませんか?または「家族にいびきがうるさい!」と言われたりしていませんでしょうか?
実は、いびきは重大な病気のサインや、重大な病気につながる原因の可能性がありますので、しっかりとケアをするためにもキチンとしたいびきの知識を身につけましょう。
本記事では、いびきの原因と対策について解説をさせて頂きます。
そもそも「いびき」とは?
いびきは「寝ている際に、のどが狭くなった状態で空気が通る時に出る音」です。
太っている方が、いびきをするイメージは強いのですが、さまざまな要因でいびきは出るので、太っていなくてもいびきをする方はいます。
また、いびきをする人は全人口の13%もいると報告されています。
男性は女性の2倍ほど多いとされていますが、女性でも10%近くの方がいびきをしています。
いびきをかきやすい人
まずは自分のいびきの原因を知り、それに応じた対応をすることが大切ですね。
いびきの原因って何があるの?
それでは、いびきの原因についてさらに詳しく解説します。
肥満
肥満になると、お腹だけでなく首にも脂肪がつき、のどが狭くなります。特にBMIが30以上の人はいびきのリスクが高いとされています。
BMIとは
BMI(Body Mass Index)はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。子供には別の指数が存在しますが、成人ではBMIが国際的な指標として用いられています。健康を維持するためは日頃からBMIを把握することが重要です。
BMIの計算はこちら
オススメの漢方
肥満が理由のいびき対処方法は、「痩せる」なのですが、長年かけてついた脂肪を簡単に落とすのは大変です。
そこでオススメなのが、防風通聖散(ボウフウツウショウサン)という漢方で、脂肪細胞の燃焼を助けることで、皮下脂肪を「減らしやすくする」という効果があります。
もちろん、防風通聖散だけで痩せることは難しいのですが、有酸素運動をしつつ脂肪細胞が燃えやすくなる防風通聖散を飲めば痩せやすくなりますよ。
鼻詰まり
花粉症や鼻炎などで鼻が詰まっている時も、いびきが出やすい状況です。
鼻詰まりがある時、寝ようとすると起きている時より、鼻が詰まったかんじがすることがありませんか?これは、寝ると鼻と心臓の高さが同じになることで、鼻の粘膜の血管から血液が戻りにくくなるため、鼻詰まりがひどくなります。
そして、鼻詰まりがひどくなると、人はより口で呼吸をしようとしますので、鼻詰まりはいびきの原因になるのです。
鼻詰まりにならないよう薬などを使用し、鼻詰まりを解消して寝るようにしましょう。
鼻詰や鼻炎に
飲酒
深酒をしたときにいびきが特にひどくなる方がいますが、アルコールには筋肉の力をはいりにくくする作用があり、そのせいで、アルコールを飲みすぎると仰向けになったとき、舌が喉の奥に落ち込んでしまい、喉を狭くさせいびきが出やすくなります。
また、喉から肺にかけての気道と言われる部位を覆っている筋肉も同様のため、太っている人がお酒を飲みすぎるといびきが轟音になるのはこのせいです。
お酒の飲み過ぎは体に良いことはありません。ほどほどにしましょう。
扁桃(へんとう)の肥大
扁桃とは喉のあるリンパ組織で、主に「口蓋扁桃」、「咽頭扁桃」、「舌扁桃」がいびきに影響があり、この扁桃が大きい場合は喉の通り道が狭くなるため、いびきの原因になります。
また、扁桃は子供の時に大きくなり(口蓋扁桃は6歳、咽頭扁桃は4-5歳)、その後小さくなるため、子供のいびきの原因の一つとなります。
基本的には年齢とともに小さくなりますが、扁桃が大きすぎて食事が飲み込みにくい、睡眠時の無呼吸による日中の眠気などがある場合は、手術で扁桃を小さくすることもあります。
更年期障害
女性は男性よりもいびきをする人が少ないです。
それは女性ホルモン(プロゲステロン)には気道を広げる効果があり、女性はいびきをしにくいのです。
しかし、閉経後は女性ホルモンが少なくなるため、この効果が得られにくくなり、女性でも男性と同等の頻度でいびきをする方がいます。
妊娠
実は、妊娠もいびきをしてしまう要因になります。
妊娠をすると女性ホルモンが変化し、急激に体重が増加、脂肪が増えてしまうといった体の変化も起きます。
なお、妊娠後半にかけてプロゲステロンが上昇する傾向にあるため妊娠後期ではいびきが減ることが多いです。
いびきはそのままにしておいていいのか?
いびきの原因はさまざまで、原因を特定して治療した方が良いのは当然ですが、もし治療しなかった場合どうなるのでしょうか。
いびきは寝ている時に喉が狭くなる状態なので、ふとすると喉が完全に閉じてしまい無呼吸になります。
喉が閉じてしまうことで睡眠時に無呼吸となる状態を閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)と言い、さまざまな病気が合併します。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の合併症
高血圧
睡眠時無呼吸の方は、健常人と比べて軽症でも2倍、中等症以上だと3倍も高血圧になることが知られており、しかも寝ている間だけではなく、起きている時の血圧も高くなります。
高血圧の治療をしていて、なかなか薬が効かない方は、閉塞性睡眠時無呼吸の可能性もあるので検査をされても良いでしょう。
心不全
血圧が高い方や、喉が閉塞することで肺がしっかり膨らまない方は、心臓への負担が大きくなり、心臓が大きくなることがあります。心不全患者のうち11-37%は閉塞性睡眠時無呼吸となっているとの報告もあります。
不整脈
睡眠時に呼吸障害がある患者さまのうち、30%近くの方に不整脈があるとの報告があります。
その中には、脳梗塞などの原因となる心房細動や、突然死の原因となる心室性不整脈もあります。
また、夜間に突然死した場合は閉塞性睡眠時無呼吸の可能性があります。
冠動脈疾患
狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患も、閉塞性睡眠時無呼吸が関与していることが報告されています。
急に胸が痛くなる狭心症のうち、30-40%の人は閉塞性睡眠時無呼吸とも言われています。
脳血管障害
脳梗塞のリスクとなる心房細動の可能性が上がると上述しましたが、それ以外にも脳卒中のリスクが上がります。
中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸の患者さまで、閉塞性睡眠時無呼吸の治療をした方としていない方では、脳卒中の際の死亡率が2.69倍にもなります。
糖尿病
閉塞性睡眠時無呼吸は、糖尿病の有病率が高くなることも報告されています。
閉塞性睡眠時無呼吸の原因に肥満があるので、元々糖尿病になりやすい方が多く含まれていることは否めませんが、中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸の患者さまは、健常人に比べて6倍も糖尿病のリスクがあります。
いびきの改善方法
いびきの原因は様々なため、一概にはお伝え出来ませんが数点提案をさせて頂きます。
マッサージや体操
次のような簡単なマッサージや体操を続けると、いびき解消につなげることができます。
生活習慣の改善
原因の中に肥満やアルコールがあるため、生活習慣を治すことがとても重要です。
実際10%減量した場合、睡眠時の無呼吸回数が3/4になるとの報告があり、また、肥満を防止する方法として「しっかり眠る」ことも大事で、睡眠時間が4時間以下だと7時間の方と比べて、肥満になりやすいと報告されています。
減量するためにも適度な睡眠をとりましょう。
持続陽圧呼吸療法
持続陽圧呼吸療法(CPAP)は、呼吸器をつけ空気を送り込むことで呼吸をしやすくする方法で、この治療をされた方は、前述している合併症のリスクが全て下がった報告があります。
実際に使った方で、よく眠れるようになったから手放せないという方もおり、かなり呼吸が快適になるようです。
なお、呼吸器は耳鼻科など病院で診察、診断を受けて器械をレンタルすることが多いです。
その他のいびきの改善方法
閉塞性睡眠時無呼吸の場合や花粉症などは専門の病院で診てもらう必要がありますが、加齢などでいびきが大きくなっているなら、市販のいびき改善グッズなどもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
肥満の方は体重を標準体重にするだけでも、舌やのどの脂肪が取れ、いびきをかきにくくなります。
しかしながら、いびきは太っている人だけがするものではなく多くの原因でなることが研究でわかっています。
また、いびきをそのままにしておくと命に関わる怖い病気になることもありますので、いびきをしている人がいても「うるさいな」と思うだけでなく、いびきは怖い病気のサインかもしれないよと説明し、しっかり治療することを勧めましょう。
監修漆畑俊哉(薬剤師)
- 株式会社なかいまち薬局 代表取締役社長
- 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
- 日本在宅薬学会 バイタルサイン エヴァンジェリスト
- 在宅療養支援認定薬剤師